屋外喫煙所の問題点は?設置基準を守り、受動喫煙や火災リスクへの配慮を

2024.4.26 喫煙問題

屋外喫煙所の問題点は?設置基準を守り、受動喫煙や火災リスクへの配慮を

改正健康増進法では、第一種施設(学校・病院・官公庁など)の屋内と敷地内を原則として禁煙としています。ただし、厚生労働省令に基づく条件を満たせば、例外的に第一種施設でも「特定屋外喫煙場所」を設置できます。

一方、屋外喫煙にも健康や火災に関するリスクがある点では屋内喫煙と変わらないので、それらに配慮して喫煙所設置の要否を検討したいところです。

この記事では、屋外喫煙における課題を踏まえつつ、第一種施設・第二種施設の喫煙ルールや特定屋外喫煙場所の概要などについて解説します。

屋外喫煙における課題

改正健康増進法の規定により、受動喫煙などのリスクを極力下げるような仕組みが設けられるようになりました。とはいえ、屋外喫煙はいくつかの問題を引き起こす可能性もあります。特に以下のような問題は周囲への悪影響も大きいため、あらかじめ把握しておきたいところです。

● 受動喫煙リスク
● 火災リスク
● 設置場所の問題
● 感染症へのリスク

それぞれの要点や注意点を解説するので、ぜひご確認ください。


◇受動喫煙リスク
タバコの煙を拡散させないよう、屋外喫煙所にはパーテーション(仕切り)などが設置されています。しかし、屋内喫煙所ほどしっかり区画されておらず、思うように分煙できていないケースも少なくありません。

十分な分煙効果が出ていないと、望まない受動喫煙を引き起こす可能性も高まります。タバコは主流煙より副流煙のほうが多くの有害物質を含んでいるため、副流煙が屋外喫煙所の外に漏れ出てしまうと、非喫煙者の健康リスクも増大してしまうのです。

喘息や高血圧など持病を抱えている方もいるので、屋外でも周囲に非喫煙者がいないか配慮しつつ、喫煙することが求められます。


◇火災リスク
改正健康増進法のほか、全国の各自治体では「路上喫煙防止条例」が定められています。条例の対象や違反のペナルティは自治体によって異なりますが、いずれも指定喫煙場所以外での喫煙などを禁止して、健康や環境を守ることが狙いです。

しかし、屋内原則禁煙のルール化や喫煙所の減少にともない、路上喫煙者はむしろ増えているともいわれています。灰皿がなく路上に吸い殻をポイ捨てする方もよく見受けられますが、火災を発生させるリスクがあるので、無責任かつ危険極まりない行為です。

施設などが用意している喫煙所まで行ってタバコを吸うなど、喫煙者自身も火災リスクに配慮する必要があります。


◇設置場所の問題
屋外喫煙所は大きく分けて、簡単な仕切りで区画されている「開放型」と、きちんとした屋根や壁があって換気扇なども設置されている「閉鎖型」の2種類があります。

開放型は最小限の設備だけで済むため、初期投資やランニングコストを抑えられることがメリットです。しかし、屋根や壁がないので、雨天や強風など天候が悪い日に利用できないという問題もあります。

屋外喫煙所が使えない場合、喫煙者によっては他の喫煙所を探すことを面倒くさがって、路上や禁煙場所でタバコを吸うケースもあります。その結果、受動喫煙や火災のリスクも高まってしまうため、屋外喫煙所の種類・設備にも配慮しなければなりません。


◇感染症へのリスク
新型コロナウイルス感染症が流行した際、3密(密集・密接・密閉)が話題となりました。現在も3密を防ぐための対策は続いていますが、屋外喫煙所も感染症へのリスクに配慮し、3密防止対策を講じる必要があります。

例えば、利用人数に制限を設けたり、喫煙所自体のスペースを広くしたりすることで、間隔を空けやすくなるため、密集や密接を防ぐことが可能です。一方、定員オーバーで屋外喫煙所に入れない方が出てくると、近辺で路上喫煙をすることも考えられるので、その対策も講じなければなりません。

第一種施設と第二種施設によって喫煙ルールが違う



  屋外喫煙所の設置を検討している場合、基礎知識として「第一種施設」と「第二種施設」の違いを理解しておくことも大切です。施設の種別によって喫煙ルールが異なるので、施設がどちらに該当するか理解していないと、ルール違反が起こる可能性も高まります。

各施設の概要と喫煙ルールをまとめたので、きちんと押さえておきましょう。


◇第一種施設とは
第一種施設とは、不特定多数が利用する公共性の高い施設です。例えば、以下のような施設が該当します。

● 学校
● 病院
● 薬局
● 児童福祉施設
● 官公庁舎

第一種施設は「敷地内禁煙」が原則です。つまり、屋内・屋外を問わず敷地内にいる限り、喫煙できないことになります。

ただし、一定条件を満たす屋外の場所に、必要な措置をとった場合、例外としてその場所にだけ屋外喫煙所(特定屋外喫煙場所)を設置することが可能です。

第一種施設の特定屋外喫煙場所については、下部で詳しく解説します。


◇第二種施設とは
第二種施設とは、不特定多数が利用する第一種施設に含まれない施設です。こちらも代表例をまとめました。

● オフィス
● 飲食店
● 宿泊施設(ホテル・旅館など)
● 工場
● 鉄道駅

第二種施設は「屋内禁煙」が原則です。しかし、一定の条件をクリアすれば、屋内に「喫煙専用室」や「喫煙目的室」を設置できるようになります。

また、第二種施設は第一種施設と違い、あくまで屋内での喫煙が規制対象であり、屋外での喫煙に対する特別な規制は存在しません。そのため、屋外喫煙所をつくりやすくなっています。

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第一種施設における特定屋外喫煙場所とは

・厚生労働省令に基づいて必要となる措置
厚生労働省令では、第一種施設の特定屋外喫煙場所の条件を満たすために、以下のような措置を必要としています。

1. 喫煙が可能な場所と喫煙が不可能な場所の区画を明確に定めること
2. 喫煙が可能な場所であることを明示するために、それを明記した標識を掲示すること
3. その第一種施設の利用者が通常立ち入らない場所に喫煙場所を設置すること
4. 施設外の近隣の建物に隣接するような場所に喫煙場所を設置していないこと
5. 喫煙場所の設置はあくまで例外対応とし、基本的には第一種施設の敷地内は禁煙とすること

前提として、第一種施設への喫煙場所の設置は、基本的には望ましいものではないことを把握しておきましょう。あくまでやむを得ない場合に設置を検討する「例外的な対応」であるという認識が必要です。


◇特定屋外喫煙場所の知っておきたいポイント
ここでは、第一種施設における「特定屋外喫煙場所」の設置の検討にともなって、知っておきたいポイントをご紹介します。

・「施設を利用する者が通常立ち入らない」という要件について
厚生労働省令には、当該の第一種施設の利用者が通常立ち入らないような場所に設置するとの要件があります。しかし、基本的に施設の建物からどれだけ離れているかなど、距離に関する具体的な要件は定められていません。

距離に関する要件がないとはいえ、施設のすぐ近くや別の建物に隣接するような箇所には設置しないように配慮する必要があります。もし「施設の利用者が通常立ち入らない場所」が構内に見当たらない場合、特定屋外喫煙場所の設置はできません。

・「区画」について
厚生労働省令においては、特定屋外喫煙場所を設置する際に、喫煙場所と非喫煙場所の明確な区画が必要とされています。区画は、パーテーションなどの設置によって定めるのが一般的です。ただし、地面に線を引いて喫煙場所と非喫煙場所の「区画」を明示することも可能とされています。

・「屋外」について
改正健康増進法における「屋外」とは、「外気の流入が妨げられる場所として、屋根があり、側壁がおおむね半分以上覆われたものの内部に当てはまらない場所」とされています。この「屋外」に該当する場所であって、かつ、施設の利用者が通常立ち入らない場所であるなどの要件を満たしていれば、基本的には特定屋外喫煙場所の設置ができます。また、場所の形状について制限は特にありません。

なお、特定屋外喫煙場所は当該施設の職員以外であっても、当該施設の利用者であれば利用が可能です。また、厚生労働省令では標識の設置も要件とされていますが、標識は喫煙場所に掲げるだけとし、設置の敷地の出入口に標識を掲示する必要はありません。

・壁や天井で囲われた閉鎖型の喫煙所を設置する場合、その内部が「屋内」となるか
特定屋外喫煙場所を設置する地点は、当該施設敷地内の屋外の場所でなければいけませんが、特定屋外喫煙場所そのものの屋根や側壁の有無については不問とされています。そのため、壁や屋根で覆われた閉鎖型の喫煙場所を設置することもできます。

・豪雪地域にて特定屋外喫煙場所までの屋根付きの通路をつくる場合
豪雪地帯の冬季間などの悪天候時に備え、施設から特定屋外喫煙場所までの屋根付き通路などを設置することについて、特に規定や規制はありません。区画が行なわれ、標識が掲示され、施設利用者が通常立ち入らない場所であれば、通路の有無にかかわらず特定屋外喫煙場所を設置できます。

ただし、特定屋外喫煙場所を設置する際に通路を設ける場合には、第一種施設の屋内に煙の流入がないよう適切な配慮を行なうことが必要です。

屋外喫煙所を第二種施設に設置するには

先述のとおり、第二種施設は第一種施設より喫煙ルールが緩く、屋外喫煙に対する特別な規制もありません。しかし、第二種施設の施設管理者には、屋外喫煙であっても非喫煙者の望まない受動喫煙が発生しないよう、場所や設備に配慮する義務があります。 つまり、規制対象に含まれていないからといって、屋外で自由にタバコを吸えるわけではないのです。配慮義務を怠った場合、健康被害やにおいが原因でトラブルに発展することも考えられるので、十分に注意しましょう。

◇第二種施設で屋外喫煙所をつくる際のポイント
第二種施設の場合、施設管理者は以下のようなポイントを意識しつつ、屋外喫煙所をつくる必要があります。法律で定められているわけではありませんが、一般的なマナー・ルールとして覚えておきましょう。

● 周囲に人がいないような場所に設置する
● パーテーションや喫煙ブースなどの設置で区画する
● 近くに窓や換気扇がない場所を選ぶ
● 営業時間のみ灰皿を置く
● 子どもや患者がいない場所を選ぶ
● 定期的な清掃を行なう

これらのポイントを配慮義務として実践すれば、喫煙者と非喫煙者が共存できる環境を整えられるので、トラブルも避けられるでしょう。

屋内での分煙・受動喫煙防止対策には、クリーンエア・スカンジナビアの喫煙ブース



屋外喫煙所を利用するとなると、移動に手間と時間がかかる点や衣服にタバコの臭いが付いてしまうことが懸念されるため、しっかり換気や脱臭がされている屋内喫煙所を利用したいと思う方もいるでしょう。
しかし、屋内喫煙所は施設の構造や周辺環境、設置工事のコストとの兼ね合いもあるので、条件次第では設置が難しく事業者が悩んでいるケースもあります。

そこで、分煙・受動喫煙防止対策におすすめしたいものが、クリーンエア・スカンジナビアの喫煙ブースです。おもな特徴をまとめたので、併せてご覧ください。


◇設置場所を選ばない
喫煙ブースは100V電源さえ確保できれば、屋内どこでも自由に設置できます。喫煙所設置のために新しい部屋を用意したり、大規模な設置工事を依頼したりする必要がないため、コストや手間を抑えることが可能です。


◇タバコ粒子を確実にキャッチ
独自開発の高性能フィルターを搭載しているので、捕集が難しいタバコ粒子をほぼ100%キャッチできます(※1)。厚生労働省が規定する「脱煙機能付き喫煙ブース」の技術的基準をクリアしているため、信頼性も抜群です。

※1 粉塵の捕集率99.99966%(0.87~0.11μm)スウェーデン王立研究所2004年3月26日実施


◇定期メンテナンスに対応
専門的な知識・技術を有するスタッフが定期メンテナンスを実施するので、いつでも快適な空気環境を保てます。

また、屋内喫煙室を設置する場合、以下のような技術的基準を満たす必要があります。

・出入口(室外から室内へと流れる空気)の風速が0.2m毎秒以上ある
・煙が外に漏れないよう天井や壁が区画されている
・煙が屋外へと排気されている

クリーンエア・スカンジナビアの分煙キャビンはもちろん法律要件を満たしており、その旨を証明するレポート作成もスタッフが代行するので手間が省けます。

まとめ

第一種施設は一定の条件を満たすことで、また第二種施設は配慮義務を果たすことで、屋外喫煙所を設置できるようになります。ただし、屋外喫煙には受動喫煙や火災のリスクがついて回るため、そのリスクを抑える対策も講じなければなりません。

また、第一種施設は特定屋外喫煙場所を設置できるものの、積極的に推奨はされていないので、その辺りの事情も踏まえて検討しましょう。