電子タバコによる健康被害はある?ニコチンやタールは含まれているのか

2022.11.8 喫煙問題

電子タバコによる健康被害はある?ニコチンやタールは含まれているのか

近年「電子タバコ」の使用者は増加傾向にあります。そのため、事業所で健康増進法の改正に対応してきた責任者・担当者の方も、電子タバコをどう扱えば良いかわからず、困っているのではないでしょうか。

そこで本記事では、電子タバコが健康被害をもたらす可能性について説明します。電子タバコを分煙対象とするか、判断する材料として参考にしてください。

電子タバコとは

電子タバコとは、香りの付いたリキッド(溶液)を電気で加熱し、発生させたエアロゾル(蒸気)を吸引する仕組みのタバコのことです。

「加熱式タバコ」と「電子タバコ」は、ともに電気でエアロゾルを発生させるため混同されやすく、どちらも「電子タバコ」と呼ばれることがあります。しかし、両者はタバコ葉を使っているかどうかではっきり区別される製品です。

タバコ葉を使っている加熱式タバコは、紙巻きタバコと同様に「たばこ事業法」上のタバコで、改正健康増進法でも分煙の対象とされています。

一方、タバコ葉を使っていない電子タバコは、たばこ事業法上では「タバコ類似製品」です。電子タバコのエアロゾルには、有害成分としてよく知られているタールとニコチンは含まれません。

タールとは、タバコの煙からガス状成分や一酸化炭素をのぞいた粒子状成分の総体です。電子タバコにはタバコ葉が使われていないため、タールは発生しません。

ニコチンは、化学物質としては毒物に指定されています。日本でニコチンを含む電子タバコを販売するためには医薬品医療機器等法(薬機法)に基づき承認が必要ですが、これまでに承認された例はありません(2022年8月現在)。

つまり、日本で販売されている電子タバコ用リキッドにはニコチンは含まれないと考えてよいでしょう。ただし、諸外国ではニコチンを含むリキッドも流通しているため、注意が必要です。

電子タバコによる健康被害はある?



電子タバコのリキッドは、食品添加物として使われるプロピレングリコールやグリセリンなどを主成分としているため、毒性は低いといわれています。では、電子タバコによる健康被害は起こりえないのでしょうか。

実はアメリカでは、電子タバコが原因と見られる呼吸困難、息切れ、胸の痛みなどの呼吸器症状やおう吐、下痢、発熱といった健康被害が発生しています。

また、食品添加物は、食品の加工や保存に使われることを前提として使用が許可されているものであり、熱して肺の奥まで吸い込むことが「安全である」とは断言できません。現に、電子タバコのエアロゾルからホルムアルデヒド、アクロレインなどの有害物質が確認されており、健康に害をおよぼす可能性も示唆されています。

さらに2020年には、日本国内で販売されたリキッドから大麻成分が検出された事例もあり、電子タバコの安全性について疑問視せざるを得ないのが現状です。

ニコチンについても、心配な点があります。日本ではニコチンを含む電子タバコ用リキッドの販売が禁止されていますが、外国製のニコチン入りリキッドを個人輸入し、使用することは禁じられていません。

そのため、国内で使用されている電子タバコであってもニコチンが含まれている可能性があります。しかし、眼前で使用される電子タバコがニコチン入りかどうか、周りの人には判断できないでしょう。

現状、電子タバコが健康に与えるリスクについては研究段階ですが、電子タバコが原因だと疑われる健康被害が発生していることは事実です。それを考えると、電子タバコの使用は控えたほうがよいでしょう。

参考:厚生労働省『電子たばこの注意喚起について』

電子タバコの喫煙場所に規制はある?

電子タバコはたばこ事業法上のタバコでなく、改正健康増進法の対象外です。そのため、決まった喫煙場所で吸わなくても法的に問題はありません。

しかし、電子タバコは使用者自身への健康被害が疑われるだけでなく、使用者が吐き出す呼気に有害物質が含まれている可能性があります。今後研究が進んで、電子タバコが法律上の分煙対象になることも考えられるでしょう。

また、加熱式タバコは規制対象ですが、非喫煙者から見ると電子タバコも加熱式タバコも区別がつきません。そのため、電子タバコだけ喫煙場所以外でも吸えるようにすると非喫煙者の誤解を生み、トラブルに発展するおそれもあります。

このような理由から、喫煙場所に法的規制がない電子タバコの使用者も喫煙室を利用することが理想的でしょう。

電子タバコの喫煙場所については、以下の記事でも解説しています。

関連記事:電子タバコは喫煙室で吸うべき?規制対象となっているタバコについて解説

喫煙専用室が作れなければ分煙キャビンがおすすめ



事業所は、改正健康増進法でいう第二種施設に当たります。事業所の喫煙室に求められる要件は、以下の3点です。

・出入口で室外から室内に流入する気流が0.2m/秒以上
・タバコの煙が流出しないよう、壁や天井などによって区画されている
・タバコの煙が屋外または外部に排気されている

この要件を満たすには、喫煙専用の部屋を用意する必要があります。さらに、天井や壁に穴を開ける、ダクトを通すなど、タバコの煙を屋外に排気できるよう工事をしなければなりません。

使える部屋がない、または工事ができないといった場合には、どのように対処すればよいのでしょうか。

屋外排気が困難な場合は、タバコの煙を浄化して施設内に排気する仕組みで代替して良いとされています。その仕組みを導入するには、厚生労働省の「職場における受動喫煙防止のためのガイドライン」が規定する要件を満たした「脱煙機能付き喫煙ブース」の設置が一般的です。

クリーンエア・スカンジナビアでは、ガイドラインの要件に適合した「脱煙機能付き喫煙ブース」のレンタルサービスを提供しています。

また、本来であれば法律要件をクリアした環境の維持や、法律要件のクリアを証明するレポート作成が必要ですが、クリーンエア・スカンジナビアが風速測定やレポート作成を代行するため手間が省けます。

クリーンエア・スカンジナビアの分煙キャビンを使えば、室内に喫煙可能エリアを設置するのに大がかりな工事は必要ありません。

分煙キャビンには人感センサーを搭載しており、ブース内部で発生した煙を素早く捕集、フィルターで浄化して、上部開口部から排出します。定期的に専門スタッフがフィルター交換といったメンテナンスを行なうため、導入後も高い性能の維持が可能です。

また、レンタルなので、今後タバコに関わる規制が変更された場合にも臨機応変に対応できます。

参考:厚生労働省『職場における受動喫煙防止のためのガイドライン(令和元年7月1日 基発 0701 第1号)』

まとめ

日本で認められている電子タバコのリキッドは毒性が低いといわれています。しかし、電子タバコが健康にもたらす害については現在調査・研究が進められている段階です。海外では電子タバコが原因と疑われる健康被害も起きています。

電子タバコは改正健康増進法の規制対象外ですが、規制対象である加熱式タバコと見た目で区別がつきにくいため、事業所ではどちらも分煙対象とすることをおすすめします。

喫煙室の確保が難しい場合やメンテナンスに人手を割けない場合には、クリーンエア・スカンジナビアの分煙キャビンの導入をおすすめします。

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