現場までつなげる環境コンサルティング。株式会社プロレド・パートナーズにインタビュー
クリーンエア・スカンジナビアは、SDGsに関する取り組みとして、サステイナブル・カンパニーを目指しています。
持続可能な発展への貢献。環境負荷削減のための責任ある行動。そして自社のバリューチェーンにおいて人々へのポジティブな効果を高めていくこと。私たちクリーンエアでは、こうした活動に取り組んで参ります。この記事では、同様にSDGsの取り組みを行っている企業をインタビュー形式で紹介します。
東京都港区に本社を構える株式会社プロレド・パートナーズは、成果報酬型のコストマネジメント会社です。小売業、製造業をはじめ、これまでさまざまな企業のコスト削減を支援してきました。
同社の「環境コンサルティングセクター」では、各企業のフェーズに応じて脱炭素化を総合的に支援しています。
今回はプロレド・パートナーズの環境コンサルティングセクターリーダー、石塚遼さんにお話を伺いました。
コストマネジメントのプロ、株式会社プロレド・パートナーズ
―本日はよろしくお願いします。まず御社の事業について教えてください。
石塚さん(以下、石塚):弊社は、2008年4月に設立された成果報酬型のコストマネジメント会社です。
クライアントが本当にP/L上の利益を実現できることにこだわり抜いたご支援を信条としており、これまで約1,000社様のコスト削減の支援をさせていただきました。
成果報酬型コンサルティングでコストに特化してきたことにより、コスト構造や調達も含めたサプライチェーンの深い見識を持っています。そこに専門コンサルタントの数多くの経験に裏打ちされたノウハウを掛け合わせ、プロジェクトを実行しています。
ESG関連活動の一翼を担う環境コンサルティング
―本日は「環境コンサルティング」についてご紹介いただけるそうですね。
石塚:はい。弊社の環境コンサルティングサービスは、お客様がESG(企業の持続的な成長において重要な要素であるEnvironment:環境、Social:社会、Governance:企業統治)関連活動において最適な意思決定ができるよう、サポートいたします。
弊社では、ESG経営を通じたお客様の企業価値の最大化に向け、時価総額1兆円規模の企業様もご支援させていただいています。
―エネルギー関連の専門性を持つコンサルタントの方が活躍されているそうですが、石塚様はどのようなバックグラウンドをお持ちなのでしょうか。
石塚:弊社はコスト削減のコンサルティングを祖業としておりますので、環境コンサルティングの所属メンバーも、もともとは、エネルギーコスト等のコスト削減のコンサルティングを行っているメンバーが大半です。
私は前職から電気料金の削減コンサルティングを行っておりまして、プロレドに入ってからは電気料金削減を行いながら、鉄道会社様などの大口のクライアント様のコストマネジメント案件には全費目を統括するPMとして関与しておりました。
弊社のバックグラウンドから、プロレドの環境コンサルティングは「環境×コスト」が一番の専門性だと捉えており、脱炭素施策の意思決定に必要となる投資コスト算定に関しては一定の自負を持ちながら、お客様にとって最適なプランをご提示できるように心がけています。
環境に関する専門知識ももちろん必要となります。グループ会社として、自治体向けを中心に20年以上環境関連のシンクタンク&コンサルティングファームの知識経営研究所社がありますので、専門的な知識はグループ内で連携してサービスを提供しています。
経営と実行の両面から脱炭素化を支援
―脱炭素化支援の具体的な内容を教えてください。
石塚:環境コンサルティングにおいては、①経営層とのコミットメント、②CO2排出実績データの収集・分析、③ロードマップ策定、④脱炭素施策実行、⑤効果検証/対外開示という5つのステップがございます。
弊社がとくに評価いただいているのは、③ロードマップ策定と④脱炭素施策実行の支援です。「環境×コスト」が活きるステップですね。
脱炭素目標、いわゆる理想像に対して、各企業様の特性や制約からとり得る打ち手を提示し、実際にサプライヤー様との条件協議の間に入ったり、現場視察を行い運用改善や燃転(使用エネルギーの重油→電気への転換など)の診断を行うなどを行っています。
また、④脱炭素施策実行の支援のステップにおける、各社様の推進体制でよくあるのが、専門分野の違いに伴う部門間のコミュニケーションコストではないでしょうか。いわゆる、現場と本社企画との温度感/認識のズレのようなものです。
脱炭素に向けた目標や開示内容は経営戦略に近いため、本社機能にて完結できます。
しかし、いざ脱炭素実行に移り、電力の脱炭素化を行いたいとなると、電力会社契約を再生可能エネルギーメニューに切り替えるのか、オンサイトPPA(※)の様に太陽光発電所を自社で導入するか、設備の入れ替え行うのかなどから、施策の取捨選択が迫られます。
本社機能にて定めている施策を実施するにしても、投資対効果の算定には現在の電力契約の内容や、エネルギー市場相場を理解した上での実行判断が現場では必要になります。
例えば、再生可能エネルギーは提供業者それぞれにアピールポイントと価格が異なりますので、自社での有効性を検討する必要がありますが、電力の購買調達の専門知識がないと、具体的な調達計画を立てられません。更に、設備を切り替える場合は、オペレーションの変更も生じるでしょう。
中央集権的に脱炭素計画を立てる企業の場合は、現場サイドからすると、納得できる計画に作り上げてもらわないと容認できないなど、サプライヤー様との条件協議前に、社内の合意形成に課題が出てしまいます。
弊社ではこうした課題に対して、コストマネジメントコンサルティングで培った対外コミュニケーションに関する知見や経験、エネルギー調達の専門性を活かして、解決策と具体的な手順をお示ししながら、脱炭素推進部門の皆様に伴走して、お客様の脱炭素施策の実現までご支援を行っています。
※ 発電事業者が、需要家の敷地内に太陽光発電設備を発電事業者の費用により設置し、所有・維持管理をしたうえで、発電された電気を需要家に供給する仕組み。
(環境省「自家消費型太陽光設備の導入について」2023年4月)
先進企業からの信頼も
―環境コンサルティングを受けたお客様から、どのようなお声がありますか?
石塚:お客様の脱炭素計画を策定するプロジェクトでは、「役員陣と脱炭素計画に関して合意が取れた」「自社で考えていた選択肢よりも経済合理性が高い選択肢があり、驚いた」「早い段階で移行計画を明確にできたため脱炭素実行の必要性が迫られる前に動くことで行動に余裕が生まれた」などの評価をいただいてきました。
弊社Webページにも掲載させていただいているお客様の声として、ハリマ化成グループ様の事例がございます。
ハリマ化成グループ様は「自然の恵みをくらしに活かす」を企業理念とし、次代へと再生される松由来の物質を原料とするパインケミカルを生業にされています。環境取組に先進的な東証プライム上場の企業様です。
1981年に、松材からのパルプ製造で副生する粗トール油の蒸留によって得られる「トールピッチ」を燃料として専用ボイラーを開発・導入し、再エネ化にいち早く着手されました。
現在は「2027年に温室効果ガスを2013年度比46%削減する」という目標を掲げ、グループ全体で取り組んでいらっしゃるのですが、FIT(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)満了に伴い、非FITとなるバイオマス発電を生かした脱炭素施策を取られたいということで弊社にご依頼をいただきました。
プロジェクトの全体像や背景などの相互理解に沿って進めたこと、世の中に出回る情報の適正さを弊社の解釈をお伝えしながら計画を立てていったことに対して、評価のお声をいただいています。
また他の企業様で、家畜の糞を燃やして蒸気エネルギーを得る施策をご提案したことがありました。
大規模な企業様で、設備費用がかなり高額になることから一度保留となりましたが、この案であれば脱炭素化が大きく進むため役員の皆様の関心が高く、引き続き検討を行っております。
現場にまでつながる支援で、日本の脱炭素化を支えたい
―今後の目標やご計画がありましたらお聞かせください。
石塚:環境問題に対する取り組みは脱炭素だけではなく、自然資本や汚染など幅広いため、弊社だけでは全てを解決できません。
同業他社の企業様と連携しながら、それぞれの強みを活かして、一番美味しいところだけをお客様にご提供できるようにアライアンスを組んでいきたいと考えています。
昨今、ChatGPTを始めとした生成AIの台頭により、簡単な情報収集は誰でもできるようになりました。一般的な方法論を語るコンサルティングは今後不要になると思います。
だからこそ、絵を描くだけではなく手触り感が必要です。現場にまでつながる連続性のある支援、脱炭素の実現という成果に向けて最後までお客様の特性に寄り添い、継続性のある支援でお客様のお役に立つことで、日本の取り組みを推進できたら嬉しい限りです。
―脱炭素化、SDGs貢献に関心のある方や企業に向けてメッセージをお願いします。
石塚:上場企業様はCG(コーポレートガバナンス)コードの改定に伴い、突然脱炭素に対応しなければならなくなったと感じている方が多いと思います。
GHGプロトコル(温室効果ガスの排出量を算出・報告する際の国際的な基準)の利用をはじめ、欧米のルールに則ったこの動きに意欲的でない担当者様もいらっしゃるかもしれません。
正直に言えば、私も全上場企業が利益を圧迫するほどの投資をもって、カーボンニュートラルを今すぐ実現すべきとは考えておりません。
しかし、やり方をしっかりと見定めれば、脱炭素化はCO2削減もコスト削減も両方実現できる取り組みになり得ます。
証書購入のような一般的な脱炭素施策に盲目的に走るのではなく、まずは自社の脱炭素のポテンシャルを明確に算定されることが重要です。
目標達成に向けて現実的な投資計画を立て、活動をされることで、脱炭素活動と事業成長の両立が実現できると考えています。
脱炭素に関して、まだ日本では「珠玉の手法」と呼べるような唯一の方法はなく、日本中の担当者が試行錯誤しながら推進を求められている分野だと思います。
もし、脱炭素化の壁にぶつかっている方がいらっしゃいましたら、弊社の環境コンサルティングセクターへお声がけください。専門性を持つ第三者がコンサルティングに入ることで、進めやすくなる議論や交渉もあるかと思います。
この脱炭素の流れをただの費用投資で終わらせるのではなく、事業成長の機会に変えていきましょう。
―本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
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