「エシカル」と「デジタル」で持続可能な社会を目指す、株式会社 船場にインタビュー!

「エシカル」と「デジタル」で持続可能な社会を目指す、株式会社 船場にインタビュー!

クリーンエア・スカンジナビアは、SDGsに関する取り組みとして、サステイナブル・カンパニーを目指しています。

持続可能な発展への貢献。環境負荷削減のための責任ある行動。そして自社のバリューチェーンにおいて人々へのポジティブな効果を高めていくこと。私たちクリーンエアでは、こうした活動に取り組んで参ります。この記事では、同様にSDGsの取り組みを行っている企業をインタビュー形式で紹介します。

株式会社 船場は、東京都港区に本社を構える国内大手ディスプレイデザイン会社です。大型商業施設や飲食店といった商空間から、オフィス、教育、ヘルスケア、ホテル、余暇施設など幅広い分野において、企画、設計・デザインや制作・施工を手掛けています。

空間づくりにおける新たな価値提供として「エシカルデザイン」を掲げ、SDGsに取り組む同社。今回は株式会社 船場PR部の皆さんにお話を伺いました。

幅広い分野の空間創造を手掛ける「株式会社 船場」



―本日はよろしくお願いします。早速ですが、御社の事業内容について教えてください。

株式会社 船場PR部(以下、船場PR部):当社は空間創造を手掛ける会社として国内および海外5拠点で事業を展開しております。

大型商業施設をはじめ、オフィスや教育施設、余暇施設、病院などさまざま施設の空間づくりにおける、調査・企画・コンサルティング、デザイン設計、制作・施工、空間演出を一貫して支援できる体制を構築し、国内外のお客様へ提供しています。

創業時は陳列ケース扱う会社でしたが、そこから店舗の内装や外装を手掛けるようになり、近年は商業分野での空間創造で蓄積したノウハウを活用しながら、オフィスや教育機関、余暇施設などの新たな領域を拡大させています。

当社の強みは、利便性や効率を優先した見た目のよいデザインだけを行うのではなく、サステナビリティを意識した「エシカル」な提案力です。人や地域社会、自然環境への“おもいやり”の視点を大切にし、行政や企業、教育機関が抱える悩みを共通の社会課題として捉え、「空間づくり」による解決策を提案しています。


―御社の掲げる「エシカルデザイン」について詳しくお聞かせいただけますか。

船場PR部:当社が考える「エシカルデザイン」とは、サプライチェーン全体でより良い社会の共創を目指すことです。これからはサプライチェーンに関わる人やその先にある地域社会、自然環境にまで及ぶ、思いやりのデザインが求められています。

それは「つくる」だけでなく「つかう」や「すてる」という行為まで含んだ、いわばライフサイクルのデザインです。私たち一人ひとりが、おもいやりを持って生活をデザインしていけば、未来は少しずつやさしい空間になっていくと考えております。


―空間に求められる価値が少しずつ変わってきているようにも感じます。

船場PR部:そうですね。商業の分野ですと「モノを買う」だけではない空間づくりが普及しました。カフェや体験型エリアが併設されるなど、その空間でどう過ごすか、何を体験するか、居心地の良さなどに価値を見出す方が多くなったように思います。

コロナ禍を経て買い物の方法にEC(Eコマース)という選択肢が増えたことも大きな変革のひとつです。商品そのものはECで購入できるので、店舗はショールームとしての役割が大きくなっています。


―時代の価値観も変化しているのですね。「エシカル」に着目するきっかけがあったのでしょうか。

船場PR部:時代によって空間に求められるものも変わるので、商業施設では5〜6年くらいで改装することが一般的でした。実はまだ使えるものでも「時代性」や「目新しさ」「収益性」を優先して作り替えていく。大金を投資して造ったものを短期間で壊して大量の廃棄物が排出される。そういった環境に負荷をかける業界の常識に疑問を持ったことも「エシカルデザイン」に着目したきっかけです。

さらにコロナ禍で空間のあり方が大きく制限され、世の中の経済活動が止まってしまった時期がありました。当社としても、この出来事をきっかけにこれまでの常識や価値観にとらわれず、本当に大切にしなければいけないものは何かを考え直す機会になりました。

先行きの不透明ななかでも変わらずに考え続けなければいけないこととして「持続可能な社会の実現」「エシカル」をキーワードに挙げ、サステナビリティと意匠性が共存したデザインを提供しています。

設計・施⼯・廃棄の工程で資源を見直す「エシカルデザイン」



―具体的にはどういった取り組みなのでしょうか。

船場PR部:当社では2021年より「Circular Renovation®(サーキュラー・リノベーション)」による循環型社会の構築を提案しております。「Circular Renovation®」は、サプライチェーンを再構築し「つかう資源」と「すてる資源」を循環させ、新たな価値を生み出すエシカルデザインのフレームワークです。

内装業界では短期間で大量の廃棄物が排出される現状があります。そこで、リサイクルしやすい資材の選定や、廃棄物を解体現場で素材ごとに細かく分別することで、リサイクル率向上を⽬的とした設計・施⼯・廃棄までのトータルサービスを提案し、クライアント企業とともに社会課題に向き合い取り組んできました。

また、エシカルデザインの活動の輪を広げる「Ethical Design Lab. 」というプラットフォームも運営しています。持続可能な社会を共創するため、都市開発や施設の運営、地域コミュニティ形成など行政や企業団体、教育機関が抱える課題に対して、多種多様な専門家をパートナーに迎え、オープンイノベーションによる解決を目指しています。

例えば、「Ethical Material(エシカルマテリアル)」では、約100社の建材・原材料メーカーから収集した情報をもとに、使い終わった後のリサイクル方法や、再生資源の活用方法の研究活動などを行っています。そのほか、「re product」では、広葉樹の曲がり木など製品化されない未利用材、経済活動で発生する産業廃棄物など社会で価値化されていないものを「未活用資源」と定義してアップサイクルする製品開発や販売も行っています。


―「エシカル」と「デジタル」を掛け合わせた価値提供にも注力されていると聞きました。

船場PR部:そうですね。エシカルな取り組みとともに戦略的なデジタルトランスフォーメーションも推進しています。なかでも鍵となるのが建設業界でこれからのスタンダードツールになるといわれている『BIM』の活用です。現在はVR技術を活用した空間デザインプレゼンテーションを行っています。クライアントが図面では判断が難しかったことを3DCGで可視化することにより円滑に合意形成を進める取り組みを行っています。

当社設計者の70パーセントにあたる100名以上がBIMを扱えるように目下訓練しており、内装業におけるBIM先駆企業となることを目指しています。

また、このBIM技術と当社の空間デザインノウハウを生かしたデザイン性の高いオリジナル仮想空間の構築・運営が一気通貫でできるBtoBサービス、メタバースソリューション「Vterior™(ブイテリア)」の提供も2022年に開始しました。イベント・ショップ・ショールーム等、さまざまな用途のバーチャル空間を創造し、提供することができます。

BIMとVRを活用した空間デザイン手法の詳細はこちらをご覧ください。

「エシカルデザイン」がスタンダードな世界を目指して



―今後のご活動について、展望をお聞かせください。

船場PR部:まずは、私どもの「エシカル」に対する考え方がスタンダードになるよう世の中に広めていけたらと思っております。まだまだコスト面を含めて課題も多い取り組みではありますので、お客様やパートナーに理解、共感いただくことで持続可能な社会の共創が実現するのではないでしょうか。

また、当社グループでは、22年12月期から3か年の中期経営計画として「Make a New Wave!」をスローガンに「エシカルとデジタルの実装」「新たな市場の開拓」「SEMBA One Asia」「変化を支えるダイバーシティ戦略」の4つを重点施策としています。

業界での新しい波となるべく当社の社会における新しい役割を探求し、引き続き人や地域社会、自然環境をおもいやるデザインや資材、工法などを積極的に提案する「エシカルデザイン」で、付加価値を創造し新たな市場の開拓を進めてまいります。


―最後に、SDGsにご関心のある方へメッセージをお願いします。

船場PR部:ぜひ当社の提案する「エシカルデザイン」に共感いただける方、SDGsの実現に向けて一緒に取り組んでくださる方いらっしゃったら、お声がけいただけたらと思います。

―本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。