「SDGsに基づく組織づくり」が全活動の軸に。株式会社ラバブルマーケティンググループにインタビュー

「SDGsに基づく組織づくり」が全活動の軸に。株式会社ラバブルマーケティンググループにインタビュー

クリーンエア・スカンジナビアは、SDGsに関する取り組みとして、サステイナブル・カンパニーを目指しています。

持続可能な発展への貢献。環境負荷削減のための責任ある行動。そして自社のバリューチェーンにおいて人々へのポジティブな効果を高めていくこと。私たちクリーンエアでは、こうした活動に取り組んで参ります。この記事では、同様にSDGsの取り組みを行っている企業をインタビュー形式で紹介します。

東京都港区に本社を構える株式会社ラバブルマーケティンググループは「人に、地球に共感を」というパーパスを掲げ、SNSマーケティング事業やDX支援事業を手がける企業です。

SDGsに基づく組織づくりを中心に、独自のマネジメントガイドラインの策定やワークショップの実施などに取り組んできた同社。今回は株式会社ラバブルマーケティンググループ経営企画室 SDGs推進担当の相澤千鶴子さんにお話を伺いました。

「愛されるマーケティング活動」の普及を目指す、株式会社ラバブルマーケティンググループ

―本日はよろしくお願いします。御社の沿革や主な事業内容について教えてください。

相澤さん(以下、相澤):弊社、株式会社ラバブルマーケティンググループは「人に、地球に共感を」というパーパスを掲げ、「愛されるマーティング」というコンセプトを基に事業を展開しております。


―SDGsに着目したきっかけはどういったところにあったのでしょうか。

相澤:弊社がSDGs推進を始めたのが2020年5月になりますが、私どもの目指す「愛されるマーケティング」とSDGsの取り組みは、とても親和性が高いことが理由のひとつです。

マーケティングでは「クリックされればいい」「広告を出して商品が売れればいい」という成果主義にしばし陥りがちですが、弊社の掲げる「愛されるマーケティング」というのはそういったものを必要としない世界観です。

例えば、家を数日留守にするとポストに広告チラシが溜まってしまい、目を通さずにまとめて捨ててしまうことがあると思います。そういったマーケティングではなく、受け取って良かったと思っていただけるような、ラバブルな発信を心がけているので、弊社がSDGsを推進するのは非常に自然な流れでした。

4つのマテリアリティに基づくSDGsの取り組み




―SDGsの17のゴールのなかで特に注力している項目を教えてください。

相澤:事業の成長に人の成長は欠かせません。そのため「8.働きがいも経済成長も」の項目に注力しています。また、「5.ジェンダー平等の実現」「3.全ての人に健康と福祉を」「10.人や国の不平等をなくそう」などの活動を重要指標として掲げております。

弊社のSDGsの指標として「SDGsに基づく組織づくり」「生産的かつエコなマーケティング活動」「持続可能な開発とライフスタイルの促進」「健全なICT社会の実現」を4つのマテリアリティとしています。

特に「SDGsに基づく組織づくり」を重点指標としており、SDGs活動のベースと位置付けて取り組んできました。


―具体的には、どのような取り組みをされているのでしょうか。

相澤:4つのマテリアリティを細分化して取り組み内容を具体化しています。「生産的かつエコなマーケティング活動」においては、弊社の事業そのものが紙や直接的な移動を必要としないマーケティング活動ですので、弊社の事業が成長すればするほど非生産的な天然資源(紙・エネルギー・CO2)消費量の削減に寄与します。

また「SDGsに基づく組織づくり」では、多様性の推進や健康経営、環境保護。こういった取り組みが重要だと考えています。弊社独自の運営評価として「SDGsマネジメントガイドライン」を策定し、これに基づく組織運営に取り組んでいます。


―SDGsマネジメントガイドラインとは、どのようなものでしょうか。

相澤:人的資本を可視化するためのガイドラインですね。人事労務に基づく重要項目を定点観測し役員に毎月報告しています。有休の取得状況や、女性管理職の比率、離職率、残業時間など約20項目のデータを集計し、定量データを提示することで、SDGs推進に活用しています。

SDGs勉強会の実施


マインドフルネスをテーマとした勉強会に、オンライン参加した従業員の様子。目のツボを押し、リラックス効果を生む


―SDGsに対する理解を深めるための勉強会も実施されているそうですね。

相澤:弊社では、SDGs勉強会という名称で年に5回の勉強会を実施しています。SDGsの目標4「質の高い教育を」をベースにした、社員の学ぶ機会提供のための取り組みです。

昨年はダイバーシティ、メンタルヘルス、フードロス、働きがい、Web3.0(テクノロジー)の5つのテーマでそれぞれのワークショップを行いました。

ダイバーシティに関するワークショップでは、パラリンピックでやり投げの選手として活躍されている若生裕太選手をお招きし、若生選手ご自身の半生についてお話しいただきました。障がいを持った経緯やパラリンピックで活躍するまでの道のりなどお話しいただくことで、さまざまな違いを持った人々が組織や集団においてどのように活躍するのか、多様性についての考えを深めることができました。

メンタルヘルスのテーマでは「ストレスとは何か」という座学から始まり、マインドフルネスのワークショップを体験したり、働きがいのテーマでは人事のスペシャリストとして著名な方に講演をしていただいたりしました。

これまで関心のなかった分野のいろいろな話を聞くことが社員の新たな教育機会になると考えています。


―SDGsの取り組みを通して社内外の変化や反響はありましたか?

相澤:社員のSDGsへの関心や意識の高まりを感じます。SDGs勉強会を通してフードロスへの理解が広がったり、エコなマーケティング活動がより共通意識として高まったりという変化ですね。その他にも、SDGsマイスターという資格を取得した社員もおりました。弊社のSDGs推進がきっかけとなり検定を受けたと聞いています。

会社でSDGsを推進すると決めても、社員にとっては「会社が決めたこと」と思いがちです。やはり社員一人ひとりがSDGsを自分ごとと捉えてボトムアップで推進していくことの重要さを実感しました。


―企業がSDGsを推進するメリットを教えてください。

相澤:社会的にもESG投資が重要視されています。ESGの観点が薄い企業は長期的な成長が期待できないと判断されることも増えてきました。企業としてはSDGsを含めたESGへの取り組みをしないことの方がリスクといえるのではないかと考えています。

また、消費者の意識変化も大きく影響していると思います。今後、ステークホルダーの中心になっていく世代の意識をとらえたマーケティング活動が非常に重要です。学校教育でもSDGsが取り入れられているので、消費者も「SDGs推進をしている企業の商品を選びたい」という意識が醸成されるのが自然な流れではないでしょうか。

今後は健康経営にも注力していきたい


マインドフルネスの勉強会の中で、瞑想をしている時の様子


―今後、さらに注力したいこと、計画や目標を教えてください。

相澤:社内におけるSDGsの取り組みの浸透という点に課題を感じています。今後の展望としては、社員一人ひとりがこれまで以上にSDGsに関心を持ち、自分ごととして捉えるような仕組みづくりに取り組んでいきたいと考えています。

今年度のSDGs推進の具体的な活動としては、健康経営がテーマになっており、社員の健康維持に関する活動を進めます。月に一度、トレーナーの方に来ていただき、運動する機会をつくろうといった計画もあります。SDGsに基づく組織づくりの一環として、健康経営を積極的に推進していく計画です。


―最後に、SDGsに関心のある方へ向けてメッセージをお願いします。

相澤:SDGsというのは指標であって、規則でもなければ罰則などもなく、強制力のあるものではありません。人の善意によって実現できるものだと思っています。

会社も全く同じで、社員に強制するのではなく社員が自ら行動するような取り組みが本質的なものではないでしょうか。楽しみながら取り組んで、社会も良くなっていく。会社も社員も良い方向に進んでいくような活動を心がけています。弊社の取り組みがご参考になれば嬉しいですね。


―本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。