電子タバコに害はある?健康被害・有害物質・受動喫煙のリスクを解説

近年「電子タバコ」の使用者は増加傾向にあります。そのため、事業所で改正健康増進法に対応してきた責任者・担当者の方も、電子タバコをどう扱えば良いかわからず、困っているのではないでしょうか。
そこでこの記事では、電子タバコが健康被害をもたらす可能性について説明します。電子タバコを分煙対象とするか、判断する材料として参考にしてください。
電子タバコとは
電子タバコとは、香りの付いたリキッド(溶液)を電気で加熱し、発生させたエアロゾル(蒸気)を吸引する仕組みのタバコのことです。英語圏ではVAPE(ベイプ)やベイポライザーという名称で広く知られています。
仕組みとしては、内蔵バッテリーを電源としてリキッドを加熱・気化させており、主にバッテリー、リキッド、カートリッジ、アトマイザーなどの部品によって構成されています。
◇加熱式タバコとの違い
「加熱式タバコ」と「電子タバコ」は、ともに電気でエアロゾルを発生させるため混同されやすく、どちらも「電子タバコ」と呼ばれることがあります。しかし、両者はタバコ葉を使っているかどうかではっきり区別される製品です。
電子タバコと加熱式タバコ、紙巻きタバコの主な違いは以下のとおりです。
| 項目 | 電子タバコ | 加熱式タバコ | 紙巻きタバコ |
| タバコ葉 | 使用しない | 使用する | 使用する |
| ニコチン | 基本的に含まない | 含む | 含む |
| タール | 含まない | 大幅減 | 含む |
| 燃焼 | なし | なし | あり |
| たばこ事業法上の分類 | タバコ類似製品 | タバコ | タバコ |
| 改正健康増進法 | 対象外 | 対象 | 対象 |
| 主な健康リスク | 呼吸器症状、発がん性物質の可能性(研究段階) | 呼吸器への悪影響、ニコチン依存(長期影響は未解明) | 多数の有害物質、がん、心疾患、COPDなど |
タバコ葉を使っている加熱式タバコは、紙巻きタバコと同様に「たばこ事業法」上のタバコで、改正健康増進法でも分煙の対象とされています。
一方、タバコ葉を使っていない電子タバコは、たばこ事業法上では「タバコ類似製品」です。
◇ニコチンやタールは含まれているのか
電子タバコのエアロゾルには、有害成分としてよく知られているタールとニコチンは含まれません。
タールとは、タバコの煙からガス状成分や一酸化炭素を除いた粒子状成分で、発がん性物質を多く含む「ヤニ」のことです。電子タバコにはタバコ葉が使われていないため、タールは発生しません。
ニコチンは、化学物質としては毒物に指定されています。日本でニコチンを含む電子タバコを販売するためには医薬品医療機器等法(薬機法)に基づき承認が必要ですが、これまでに承認された例はありません(2026年4月現在)。
つまり、日本で販売されている電子タバコ用リキッドにはニコチンは含まれないと考えてよいでしょう。ただし、諸外国ではニコチンを含むリキッドも流通しているため、注意が必要です。
電子タバコによる健康被害はある?

世界保健機関(WHO)の報告によると、世界では1億人以上が電子タバコを使用していると推計されており、国によっては成人だけでなく若年層にも使用が広がっています。では、電子タバコは広く使用されているからといって、健康被害の心配がないといえるのでしょうか。
電子タバコのリキッドは、食品添加物としても使われるプロピレングリコールやグリセリンなどを主成分としているため、毒性は低いといわれています。
しかし、食品添加物は、食品の加工や保存に使われることを前提として使用が許可されているものであり、熱して肺の奥まで吸い込むことが「安全である」とは断言できません。現に、電子タバコのエアロゾルからホルムアルデヒド、アクロレインなどの有害物質が確認されており、健康に害をおよぼす可能性も示唆されています。
◇電子タバコで報告されている健康被害
電子タバコに関連する健康被害として、呼吸困難、息切れ、胸の痛みなどの呼吸器症状のみならず、おう吐、下痢、発熱といった消化器症状をも呈する健康被害が報告されており、これはEVALI(電子タバコ製品使用関連肺障害)と呼ばれています。
原因としては、大麻成分THCを含む製品や、その添加剤であるビタミンEアセテートとの関連が強く示唆されています。国内でも、販売されたリキッドから大麻成分が検出された事例があり、安全性への懸念は国内外に共通しています。
また、呼吸器への影響については、2025年に発表された調査研究で、電子タバコを使用する非喫煙者は、未使用者と比べて呼吸器症状の発生リスクが約1.9倍高いことが示されています。
循環器系でも、使用直後に心拍数や血圧が上昇するとの報告がある一方、心疾患との明確な関連はまだ確認されていません。
電子タバコは紙巻きタバコより有害物質が少ない可能性がある一方で、長期的な健康リスクは十分に解明されておらず、引き続き注意が必要です。
◇ニコチンに関する注意点
ニコチンについても、心配な点があります。日本ではニコチンを含む電子タバコ用リキッドの販売が禁止されていますが、外国製のニコチン入りリキッドを個人輸入し、使用することは禁じられていません。
そのため、国内で使用されている電子タバコであってもニコチンが含まれている可能性があります。しかし、眼前で使用される電子タバコがニコチン入りかどうか、周りの人には判断できないでしょう。
現状、電子タバコが健康に与えるリスクについては研究段階ですが、健康被害が疑われる事例が発生していることは事実です。完全に無害とは断言できない以上、使用は控えることが賢明といえるでしょう。
参考:電子たばこの注意喚起について|厚生労働省
電子タバコに含まれる可能性のある有害物質とは
電子タバコはタールや燃焼による煙を発生させませんが、リキッドを加熱する過程で有害物質が生じる可能性があります。主な物質は以下のとおりです。
| 名称 | 主な健康への影響 |
| ホルムアルデヒド | 発がんリスクとの関連が指摘されている |
| アセトアルデヒド | 発がんリスクとの関連が指摘されている |
| アクロレイン | 気道や肺に炎症を起こすおそれがある |
| 金属粒子(ニッケル・鉛など) | 継続的な吸入により、悪影響が懸念される |
いずれも電子タバコのエアロゾル中に含まれる可能性があり、継続的な吸入による健康への影響が懸念されています。
職場や公共の場所における電子タバコの法規制とマナー
電子タバコは煙が見えにくいため、周囲への影響が少ないと受けとめられる場合もあります。
しかし、エアロゾルには有害物質が含まれる可能性があります。WHOも、電子タバコのエアロゾルは室内の微粒子濃度を高め、ニコチンやそのほかの有害物質を含む可能性があるとして、使用者だけでなく周囲の人へのリスクを指摘しています。
法規制の面では、電子タバコはタバコ類似品に分類されるため、改正健康増進法の規制対象外です。
ただし、規制がないからといって周囲への影響がまったくないとは言い切れません。職場や公共の場では、受動喫煙の観点からもタバコと同様の配慮が求められます。
関連記事:電子タバコは喫煙室で吸うべき?規制対象となっているタバコについて解説
職場や公共の場所における分煙対策
前述の通り、電子タバコは法律上、決まった喫煙場所で使用しなくても問題はありません。
しかし、電子タバコと加熱式タバコは外見上の区別がつきにくく、非喫煙者には同一視されてしまう場合もあります。誤解やトラブルを避けるためにも、喫煙室内での使用が望ましいでしょう。
職場や公共施設を運営する立場では、このような背景を踏まえた適切な分煙対策が求められます。事業所は改正健康増進法上の第二種施設に該当し、喫煙室を設置する場合は以下の要件を満たす必要があります。
• 出入口で室外から室内に流入する気流が0.2m/秒以上
• タバコの煙が流出しないよう、壁や天井などによって区画されている
• タバコの煙が屋外または外部に排気されている
この要件を満たすには、喫煙専用の部屋を用意する必要があります。
さらに、天井や壁に穴を開ける、ダクトを通すなど、タバコの煙を屋外に排気できるよう工事をしなければなりません。なお、屋外排気が困難な場合は、経過措置として、タバコの煙を浄化して施設内に排気する仕組みで代替して良いとされています。
喫煙専用室については、以下の記事でも解説しています。
関連記事:喫煙専用室とは?設置基準や助成金受給の条件などを解説
脱煙機能付き喫煙ブースという解決策

喫煙室を設置する際に、使える部屋がない、または工事ができないといった場合には、どのように対処すればよいのでしょうか。
前述の通り、屋外排気が困難な場合は、経過措置として、タバコの煙を浄化して施設内に排気する仕組みで代替して良いとされています。その仕組みを導入するには、厚生労働省の「職場における受動喫煙防止のためのガイドライン」が規定する要件を満たした「脱煙機能付き喫煙ブース」の設置が一般的です。
クリーンエア・スカンジナビアでは、ガイドラインの要件に適合した「脱煙機能付き喫煙ブース」のレンタルサービスを提供しています。
また、本来であれば法律要件をクリアした環境の維持や、法律要件のクリアを証明するレポート作成が必要ですが、クリーンエア・スカンジナビアが風速測定やレポート作成を代行するため手間が省けます。
クリーンエア・スカンジナビアの「分煙キャビン」を使えば、室内に喫煙可能エリアを設置するのに大がかりな工事は必要ありません。
分煙キャビンには人感センサーを搭載しており、ブース内部で発生した煙を素早く捕集、フィルターで浄化して、上部開口部から排出します。定期的に専門スタッフがフィルター交換といったメンテナンスを行うため、導入後も高い性能の維持が可能です。
また、レンタルなので、今後タバコに関わる規制が変更された場合にも臨機応変に対応できます。
参考:職場における受動喫煙防止のためのガイドライン(令和元年7月1日 基発 0701 第1号)|厚生労働省
まとめ
日本で認められている電子タバコのリキッドは毒性が低いといわれていますが、電子タバコが健康にもたらす害については現在調査・研究が進められている段階です。電子タバコが原因と疑われる健康被害も報告されており、完全に安全とは言い切れません。
電子タバコは改正健康増進法の規制対象外ですが、規制対象である加熱式タバコと見た目で区別がつきにくいため、事業所ではどちらも分煙対象とすることをおすすめします。
喫煙室の確保が難しい場合やメンテナンスに人手を割けない場合には、クリーンエア・スカンジナビアの「分煙キャビン」の導入をぜひご検討ください。
クリーンエア・スカンジナビアの分煙機(キャビンソリューション)
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■監修者情報

井上禎子(いのうえていこ)
まごめ内科・腎クリニック院長(医学博士)。東京女子医科大学卒業後、腎臓内科や糖尿病内科で臨床・研究を重ね、東京医科歯科大学腎臓内科メディカルフェロー等を経て2016年に開院。日本腎臓病学会・日本透析学会の専門医として、腎臓病や糖尿病・高血圧など生活習慣病の診療に注力する。また日本医師会認定産業医としても、企業の産業保険活動に取り組んでいる。
HP:https://www.magome-nc.jp/index.html
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