金属加工工場の粉塵対策とは?発生する作業や影響も解説

金属加工工場では、製品を製造する各工程で、金属粉塵や溶接ヒューム、切削油に由来するオイルミストなどが発生するケースがあります。
粉塵が浮遊している状態を放置すると、従業員が吸い込んで健康に影響をおよぼすかもしれません。また、製品や設備に粉塵が付着・混入して、品質低下や作業環境の悪化につながる可能性もあります。
この記事では、金属加工工場で粉塵が発生しやすい作業や、粉塵による影響、具体的な対策方法を徹底解説します。工場で管理業務に携わっている方は、ぜひ参考にしてください。
金属加工工場で粉塵が発生する作業・場面
金属加工工場では、金属の研磨・裁断・溶断・溶接・レーザー加工・鋳造などの作業で粉塵が発生する可能性があります。なお、切削油を使用する切削加工では、粉塵とは性質の異なるオイルミストが発生する場合もあります。
研磨機・切断機・サンダー・グラインダーなどによる作業を実施する際には、金属由来の細かい粒子が空気中に飛散しやすいです。また、バリ取りや表面仕上げの工程でも、削り取られた金属片や研磨粉が周囲に飛散することがあります。
溶接・溶断では、金属が加熱されることで溶接ヒューム(微細な粒子状物質)が発生する場合があります。レーザー加工でも、金属の加熱・溶融・蒸発などによって、微細な粉塵やヒュームが発生するケースがあるため、注意が必要です。
金属加工工場では、作業内容ごとに粉塵の発生量や粒径、飛散のしやすさが異なるため、工程ごとにリスクを整理することが重要です。具体的には、発生源や作業頻度、作業時間、作業者との距離、換気・集塵設備の有無を確認しましょう。
粉塵が発生する作業を実施する場合、従業員の健康被害を防止するために法令(粉じん障害防止規則など)に基づいて粉塵対策を講じなければなりません。粉じん障害防止規則第1条では、事業者に対して、以下に示す内容の努力義務を課しています。
労働者の健康障害を防止するため、設備、作業工程又は作業方法の改善、作業環境の整備等必要な措置を講ずるよう努めなければならない
出典:粉じん障害防止規則|厚生労働省
そのほか、大気汚染防止法やじん肺法なども遵守しなければなりません。大気汚染防止法施行令第3条および別表第2では、粉塵発生施設の類型別に、構造・使用・管理の基準が示されています。じん肺法では、じん肺健康診断の詳細(対象者や実施頻度など)が定められています。じん肺健康診断とは、粉塵が発生する作業に常時従事する従業員などに対して実施することが求められる健康診断です。
金属加工工場における粉塵の影響
金属加工工場で粉塵が発生した場合、以下のような影響があると考えられます。
• 粉塵の吸入による従業員の健康リスク
• 粉塵の混入・付着による品質の低下
• 粉塵の堆積による設備・機器の故障や作業環境の悪化
特に金属粉塵や溶接ヒュームは、吸入リスクや法令対応の観点から厳格な管理が必要です。それぞれの詳細を説明します。
◇粉塵の吸入による従業員の健康リスク
粉塵が発生している工場で、対策なしで製造業務に従事すると、健康に影響をおよぼす可能性があります。粒径が小さい粉塵は呼吸器の奥まで到達しやすく、長期的な曝露によってじん肺などを引き起こすおそれがあります。そのため、各種法令(粉じん障害防止規則など)を踏まえて、粉塵対策を講じなければなりません。
健康障害を引き起こすリスクがある作業は、各作業内容に応じて健康障害防止措置を講じる必要があります。
従業員の健康を守るためには、粉塵の発生抑制・拡散防止・吸入防止(呼吸用保護具の着用)を組み合わせて対策することが重要です。また、作業環境の測定やじん肺健康診断も実施しましょう。
◇粉塵の混入・付着による品質の低下
工場の空気中に粉塵が浮遊している状態で製造すると、部品や完成品に付着・混入し、品質が低下する場合があります。塗装・めっき・接着・溶接後処理や精密部品の組立などでは、粉塵の付着が外観不良や加工不良につながります。
また、金属粉塵が部品や完成品に混入すると、納入先で受け取りを拒否されたり、再検査や手直しを求められたりするかもしれません。品質基準が厳しい製品では、わずかな粉塵の付着でも不良と判断される場合があるため、注意が必要です。さらに、市場に出回ってから一般消費者からクレームが寄せられて、製品の回収や返金を余儀なくされる可能性もあります。
従業員の健康を守ることに加え、品質基準を満たす製品を製造・出荷して取引先や消費者からの信頼を維持する観点からも、粉塵対策の実施は不可欠です。
◇粉塵の堆積による設備・機器の故障や作業環境の悪化
工場の空気中に粉塵が浮遊していると、各種設備・機器(制御盤・センサー・搬送ライン・照明器具など)に付着・堆積する可能性があります。
金属粉塵が設備の摺動部や精密部品に入り込むと、摩耗や精度低下を招きます。劣化・不具合(動作不良)が生じるだけではなく、完全に故障するケースもあるかもしれません。機械の誤作動が頻発したり、加工精度が低下したりすると、生産性や品質に悪影響がおよびます。また、作業場に粉塵が浮遊・堆積していると、視界不良や清掃負担の増加、従業員の不快感にもつながります。
作業環境を維持し、生産性を高めるためには、発生源対策と空間中の粉塵拡散防止対策を組み合わせることが重要です。
金属加工工場における粉塵対策

金属加工工場では、従業員の健康を守り、品質低下や作業環境の悪化による生産性低下を招かないために、粉塵対策を講じましょう。粉塵が工場全体に漂う状況に陥ってから対処するのではなく、発生源の見直しや工程改善によって発生・拡散の量を低減することが重要です。
粉塵対策は、以下に示す4つの観点・段階で整理できます。
1. 原材料や作業内容などを見直して粉塵の発生量を低減する
2. 集塵機やビニールシートなどを用いて粉塵の拡散を抑制する
3. 保護具(マスクなど)を用いて粉塵の吸入を防止する
4. 粉塵濃度の測定や健康診断を実施する
◇対策①原材料や作業内容などを見直して粉塵の発生量を低減する
まずは、作業を実施する段階で、粉塵の発生量を低減することが重要です。発生量が少なければ、拡散対策や吸入防止対策の負担が軽減されます。具体的には、原材料の種類を見直して、粉塵が発生しにくいものに変更することが有効です。
そのほか、作業方法の変更(低粉塵工具の導入、切削条件・研磨条件の見直し、散水による湿潤化など)も検討しましょう。サンダー・グラインダー作業では、粉塵の発生量が少ない工具や集塵機能付き工具を活用することも選択肢のひとつです。
水分によって影響が出ない工程では、乾式作業から湿式作業へ変更することで、粉塵の舞い上がりを抑制できます。ただし、金属加工では、湿潤化によって製品にサビが生じるケースがあるほか、品質が低下したり設備に悪影響がおよんだりすることもあります。事前に、金属の性質や工程への影響をご確認ください。
また、アルミニウム粉塵やマグネシウム粉塵は、水分が存在すると燃焼性が増し、爆発的に反応する可能性があります。そのため、アルミニウムやマグネシウムを取り扱う際は、作業エリアの湿潤化を避けましょう。
◇対策②集塵機やビニールシートなどを用いて粉塵の拡散を抑制する
金属粉塵が工場内に広がらないように、発生源の近くで捕集・隔離しましょう。集塵機や局所排気装置を設置し、粉塵発生源(研磨・切断・バリ取り・レーザー加工・溶接などの作業を実施する場所)の付近で吸引・除去してください。
ビニールカーテンやブースなどで作業場所を区切り、粉塵の拡散範囲を限定(ゾーニング)することも重要です。また、粉塵が発生しやすい工程は、密閉化・自動化・遠隔化も検討しましょう。作業者が粉塵発生源に接近する機会が減少すれば、曝露リスクが低下します。
そのほか、拡散抑制では、空気の流れも無視できません。空調や換気の流れによって金属粉塵が作業エリア全体に広がる場合があるため、集塵機の吸込口や排気方向、作業台の配置を確認しましょう。
金属粉塵の種類や火花の発生状況によっては、集塵機などを選定する際、防火・防爆・火災リスクへの配慮も欠かせません。詳細は、設備メーカーや専門業者にお問い合わせください。
◇対策③保護具(マスクなど)を用いて粉塵の吸入を防止する
粉塵の発生量を低減し、拡散を抑制しても、作業者の周囲に微量の粒子が漂う可能性があります。従業員の健康を守るために、関連する規制や運用ルールをご確認ください。そして、各作業(金属アーク溶接など)を実施する際には、従業員に保護具の着用を求め、粉塵の吸入防止に努めましょう。
ここでは、保護具の例として呼吸用保護具についてご紹介します。
呼吸用保護具としては、防塵マスクや電動ファン付き呼吸用保護具などがあります。作業内容や粉塵濃度、作業時間に適した呼吸用保護具を選定してください。
呼吸用保護具を用意しても、正しく装着できていない(顔に密着していない)場合、十分な効果を得られません。装着する際には、下表に示す陰圧法または陽圧法のいずれかでフィットチェック(密着性の確認)を実施しましょう。
| 陰圧法 | 1. マスクの給気口を手でおおい、ゆっくり息を吸い込む 2. 面体が吸い寄せられる(または息苦しい)場合、フィットしている 3. 吸い寄せられない場合、面体の位置や紐を締める強さを調整する |
| 陽圧法 | 1. マスクの給気口を手でおおって息を吐く 2. 膨張する場合、漏れがなく、フィットしている 3. 膨張しない場合、面体の位置や紐を締める強さを調整する |
フィルターを交換するタイプの呼吸用保護具を利用する場合は、定期的にフィルター交換も実施してください。交換せずに利用していると十分な効果を得られません。また、使い捨てタイプではない呼吸用保護具は、粉塵が発生する場所に放置せず、清浄な場所で保管してください。
なお、呼吸用保護具は「最後の砦」です。単体で対策するのではなく、発生源対策や拡散防止策と組み合わせることが重要です。
◇対策④粉塵濃度の測定や健康診断を実施する
粉塵対策は「実施したら、それで終わり」ではなく、効果を継続的にモニタリングする必要があります。濃度計測装置を用いて対策前後の粉塵濃度を比較し、十分な効果が出ているかどうかをご確認ください。濃度が低下しない場合、「集塵機の能力不足」「設置位置の不適切さ」「気流の乱れ」「清掃不足」などが原因として考えられます。原因を見極めたうえで、施策を見直しましょう。
金属加工では、工程変更・設備更新・レイアウト変更・加工条件の変更によって、粉塵の発生状況が変わる場合があります。変更時には、粉塵濃度や対策内容を再確認することが不可欠です。
また、作業環境の改善に加えて、健康管理もセットで実施し、従業員の健康リスクを継続的に把握することが重要です。粉塵が発生する作業に常時従事するスタッフなどに対しては、じん肺健康診断を実施しましょう。じん肺健康診断の結果(じん肺管理区分)によっては、従業員の健康を守るための措置(就業場所変更や作業時間短縮など)を講じなければなりません。
じん肺健康診断の詳細(対象者や実施頻度など)は、じん肺法で定められています。不明な点がある場合は厚生労働省に問い合わせましょう。
出典:じん肺診査ハンドブック|厚生労働省
金属加工工場の粉塵対策はクリーンエア・スカンジナビアに相談を
発生源の付近に集塵機・局所排気装置を設置しても、粉塵を吸い取りきれないことがあります。また、ゾーニングしていても、作業者の出入りやビニールシートの隙間、空調の気流によって周囲に拡散する可能性があります。そのため、工場用空気清浄機も活用して、金属加工工場の空間全体に浮遊する金属粉塵を捕集しましょう。
おすすめの工場用空気清浄機は、クリーンエア・スカンジナビアの「QleanAir FS 70」です。1台でテニスコート1面分の広さに対応できます。広さが200㎡で天井までの高さが5mの空間であれば、1時間に3回(20分おきに)エリア内のすべての空気が入れ替わる性能があります。確かなフィルターシステムで、集塵機では捕集が難しい25μm以下の浮遊粉塵までしっかり捕集することが可能です。
設置場所の課題やニーズに応じて、製品バリエーションの中から最適なフィルターや付属品を選べます。設置場所の広さや用途を踏まえて設置台数を提案できるので、ぜひお気軽にご相談ください。
【クリーンエア・スカンジナビアの空気清浄機の導入事例】
◇株式会社内海
ハサミを製造する際、金属加工(研磨や仕上げ工程)に伴って鉄粉などが発生し、集塵機のみでは取り切れず、棚や壁に付着することが課題でした。従業員の長期的な健康リスクも気になっていたことから、「QleanAir FS 70」を導入していただきました。
導入後は、「作業エリアの空気環境の改善を実感している」というお声を頂戴しています。キャスター付きであり、設置場所の調整が容易な点も評価いただいております。
まとめ
金属加工工場では、研磨・切断・バリ取り・レーザー加工・溶接・溶断・鋳造などの作業で、金属粉塵や溶接ヒュームが発生することがあります。なお、切削加工では、切削油に由来するオイルミストが発生するケースも見受けられます。
粉塵が漂う状態を放置すると、従業員の健康に悪影響があるほか、品質低下や設備・機器の故障による作業環境の悪化にもつながりかねません。
そのため、「発生を抑える」「拡散を防ぐ」「吸入を防ぐ」「効果を確認する」という観点・流れで粉塵対策を講じましょう。発生源付近では集塵機や局所排気装置で対応したうえで、工場の空間全体を浮遊する粉塵に対しては工場用空気清浄機の活用が有効です。
おすすめの工場用空気清浄機は、クリーンエア・スカンジナビアの「QleanAir FS 70」です。導入するかどうかを迷っている場合や疑問点・不明点がある場合は、お気軽にご相談ください。
QleanAir FS 70
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