脱炭素化に取り組む企業を支援。booost technologies株式会社にインタビュー

脱炭素化に取り組む企業を支援。booost technologies株式会社にインタビュー

クリーンエア・スカンジナビアは、SDGsに関する取り組みとして、サステイナブル・カンパニーを目指しています。

持続可能な発展への貢献。環境負荷削減のための責任ある行動。そして自社のバリューチェーンにおいて人々へのポジティブな効果を高めていくこと。私たちクリーンエアでは、こうした活動に取り組んで参ります。この記事では、同様にSDGsの取組みを行っている企業をインタビュー形式で紹介します。

東京都品川区に本社を構えるbooost technologies株式会社は、世界的環境課題である気候変動への対策に向けたアクションを推進する企業です。CO2排出量を可視化するツールの提供やコンサルティングで、サステナビリティ経営を後押しし、大手企業での導入実績もあります。

今回はマーケティング部の永田さん、立堀さんにbooost technologiesが提供する製品と企業が脱炭素に取り組む必要性を伺いました。

テクノロジーの力で脱炭素化の加速を支援するbooost technologies株式会社



―本日はよろしくお願いします。まず御社の事業内容について教えてください。

永田さん(以下、永田):弊社は2015年に創業し、2023年4月で8年目を迎えました。「加速する・押し上げる」といった意味のある「boost」を、より企業の方々や事業モデルを押し上げたいという意味を込めて「o」を1つ足しているのが社名の特徴です。従業員は68名で、東京本社と大阪事務所の2拠点で展開しております。

「より持続可能で、NET-ZERO(ネットゼロ)な未来を実現する」と企業ミッションに掲げ、企業のテクノロジーパートナーとして、NET-ZEROの推進や加速を支援しています。

創業時は「ENERGY X(現:booost Energy)」という電力エネルギーのマネジメントを行なうプラットフォームの開発・提供から事業をスタートしました。

お客様の電力のマネジメントをするなかで、CO2排出量の算定・可視化の必要性を認識し、企業のCO2排出量を見える化するクラウドソフト「ENERGY X GREEN(現:booost GX)」の提供を始めました。

現在は、サステナビリティ経営を加速するためのクラウド・プラットフォーム「booost Sustainability Cloud」として、電力・CO2排出量にとどまらずESG全般を管理するソリューションを提供しています。


―御社が掲げる「NET-ZERO」とは、どのような考え方なのですか?

立堀さん(以下、立堀):「NET-ZERO」の意味はカーボンニュートラルとほぼ同じものです。自社の産業活動だけで削減を目指すのではなく、排出量の少ない電力を購入するなどしてCO2排出量を極限まで削減したうえで残余をカーボン・オフセット等により差し引いて正味ゼロにすることを「NET-ZERO」といいます。

企業の脱炭素化に貢献する総合プロダクト「booost Sustainability Cloud」をリリース



―「booost Sustainability Cloud」のサービス内容を詳しく教えてください。

永田:「booost Sustainability Cloud」は「booost Energy」と「booost GX」に加えて「booost Supplier」と「booost ESG」の4つのアプリケーションから構成されるプロダクトです。マネジメント領域をより拡張させ、サプライチェーンCO2排出量を含む環境や人的資本等の社会、ガバナンスのESGデータを集約する機能があります。


―提供される各アプリケーションの詳細を教えてください。

永田:まず「booost GX」からご説明します。こちらはCO2排出量の可視化、管理、カーボン・オフセット、報告レポート等をワンストップで行ない、GX(グリーン・トランスフォーメーション)を促進するアプリケーションです。

CO2排出量の可視化は、自社の排出量だけでなくサプライチェーンを含めた排出量が算定対象となります。サプライチェーンの排出量には、Scope1~3という考え方があり、自社で排出されるものはScope1・2、自社以外のグループ企業において上流過程・下流過程で排出されるものはScope3に分類され、企業はこの分類をもとに報告・開示することが一般的です。「booost GX」では、Scope1~3の算出をプラットフォーム上で行ない、グラフ等で可視化できます。

そして、可視化に基づきロードマップを策定し、どのようにCO2を削減していくか計画・管理が可能です。

「NET-ZERO」の考えには、自社産業内でCO2を削減するだけでなく、省エネルギー・再生可能エネルギーの導入による実質的なCO2削減も含みます。非化石証書の購入もCO2削減手法の一つで、その購入予約がシステム上で行なえる機能もございます。

さらに、こうした取り組みをER100や温対法、省エネ法など、各種レポートで報告し自社の状況を開示するケースがあります。「booost GX」では、レポートに使用する数値の書き出しやレポート作成もサポートしています。

「booost Supplier」は、仕入先や取引先企業が排出しているCO2の量をより精緻に把握するためのアプリケーションです。「booost GX」のオプションとして活用いただくもので、2023年4月にリリースしました。

多くの企業では、サプライヤーとなる仕入先・取引先の排出量を確認する場合、集計用の表計算ファイルを配布し、入力・提出をお願いしているケースが一般的です。定期的にデータを集計するためにリマインドして、送られてきたデータを確認・反映させる従来の作業は、すごく工数も手間もかかるため脱炭素推進における大きな課題のひとつです。

「booost Supplier」では、仕入先や取引先企業さまにアカウントを付与し、CO2排出量の算定に必要な排出係数を入力していただきます。そうすると、「booost Supplier」が入力情報を吸い上げ「booost GX」へ反映。リマインド機能もありますので、提出を催促する手間もかかりません。

入力する数値や係数についても「booost Supplier」上で指示でき、誤入力も防げるので、「booost GX」と併せて活用することでサプライチェーン全体の脱炭素をより加速させることができます。

今後提供予定の「booost ESG」は、ESGの「E:Environment(環境)」「S:Social(社会)」「G:Governance(ガバナンス)」をそれぞれ数字で見える化し、経営への反映をサポートします。

GHG(温室効果ガス)だけでなく、それ以外の環境に関わる水や資源についても管理し、ソーシャルとガバナンスの部分もプラットフォーム上でトータル的に集約・管理することで企業価値向上に役立てます。


―今後、SDGsやサステナブル経営を考える企業にとって、画期的なサービスになりそうですね。実際の導入状況や事例をご紹介いただけますか。

永田:「booost GX」は現在、大企業のお客様を中心に1000社以上に導入いただき、16.8万拠点で利用されています。

サービスの提供は2021年10月からですが約1年半の間に、「booost GX」を使って算定・管理しているCO2排出量は日本全体で排出される温室効果ガスのうち、約7.3%を占めている状況です。

具体的な導入例ですと、イオン株式会社様ではグループ全拠点で「booost GX」を採用いただいています。CO2排出量の可視化に加えて、大雨の浸水リスク管理についても機能をカスタマイズして活用いただいています。

気候変動を止めるべく脱酸素は世界全体で取り組むべき課題



―御社が事業として「NET-ZERO」に着目した経緯や背景について教えてください。

永田:もともと弊社では電力エネルギーのマネジメントをしており、新電力の立ち上げや地域電力の支援、運用支援に携わっていました。そのなかで、時代の変化や世界的な動向から脱炭素のニーズを感じていた部分があります。

また、脱炭素に向けて取り組まなければといったお客様の声も、「booost GX」の提供に至った背景です。


―脱炭素の取り組みは、どの分野からのニーズが多いですか?

永田:CO2排出量を含め、気候変動についての情報開示がプライム市場では義務化されました。それにともない、上場企業の方々は分野に関わらず取り組む必要性がでています。

未上場の企業でも取引先が上場していると、脱炭素に取り組んでいる相手と優先的に取引するケースも懸念され、危機感から取り組まれているところもあると思います。

立堀:業界でいうとCO2排出量が多い製品を作る鉄鋼業や非鉄金属業などは、早くから危機感を持っていたと思います。

CO2の直接排出量が一番多い部門は発電所などが含まれるエネルギー転換部門ですが、こちらはまだ化石燃料の占める割合が多く、代替手段が確立されていません。

また、日本よりも欧米のほうが脱炭素に厳しく、欧米企業と取引している企業は欧米の基準で取り組む必要があり、スピード感や真剣度は違うようです。


―脱炭素に向けた取り組みは、企業にとってどのようなメリットがあるのでしょうか?

立堀:広い意味では企業の競争力を高めるメリットになると思います。ただし、取り組みにはコストがかかりますし、それを製品に反映させて市場に受け入れられるか、消費者が購入してくれるかがネックです。

また、コストだけでなく最終的にはサステナビリティの取り組みを企業価値向上に結びつけていかなければなりません。脱炭素経営で得られる企業価値を具体的に示せないと、経営陣もGoサインを出さないでしょう。

気候変動は世界全体で止めなければなりません。地球環境の今後を考えると対応コストを受け入れつつ、長期的には企業価値の向上へつなげられないと、企業にとって長期的にはマイナスになります。

気候変動やサステナビリティに関する情報も、有価証券報告書に記載し、情報開示が義務化されました。日本の上場企業で今後さらに取り組みが広まっていくと考えられます。

取り組みに積極的な企業とそうでない企業の差が明るみになり、取引先や製品を選ぶ判断材料に利用されるでしょう。その点でも、脱炭素の取り組みが企業にとって欠かせないものになっていくと予想されます。

ESGを企業経営へ反映できるサービスを目指して



―今後、御社で注力されることや新しい計画がありましたらお聞かせください。

永田:まず「booost ESG」をリリース予定です。「booost GX」のCO2排出量だけでなくESG全般を経営へ反映させられるサービスを提供したいと考えています。

立堀:弊社事業の軸は「booost GX」ですが、企業で脱炭素の取り組みを担当されている方はCO2排出量の管理だけでなく環境全般やサステナビリティ全般を見ている方が多いです。

現在はまだ、脱炭素に向けた取り組みはコストと捉えられているのが実態で、企業価値には直結しにくいものです。

しかし、企業がサステナビリティを意識し、それに向けて取り組めば企業価値を高められる効果もあり、長期的に見れば成長につながる投資であると考えます。

例えば、人的資本への投資にいくら使い、その効果がどれほどあったかを見える化したいニーズも高まっていますので、そこも含めた支援ができるようなサービスを提供したいです。


―SDGsへの貢献や脱炭素に関心のある方へ、メッセージをお願いします。

永田:弊社製品は、これから脱炭素やESGに向けた取り組みを始めたいと考えているものの何から着手すれば良いかわからないという方から、可視化における工数の削減をしたい方、海外拠点を含めて管理したい方まで幅広く対応できる設計です。

また、コンサルティングを行なうチームもおり、お客様に合わせたカスタマイズが可能なプランも展開するなど、柔軟なサポート体制が整っています。お困りごと・お悩みごとがありましたら、ぜひお問い合わせください。

立堀:弊社が支援する取り組みは、脱炭素の必要性をいち早く感じた企業様から実行されています。多くの方が一日でも早く、取り組んでくださることを期待しておりますので、SDGsや脱炭素に向けた行動をお考えでしたら弊社にご相談ください。


―本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。