病院の換気システムはどうなっている?換気の重要性と建築基準法やビル管理法による影響
コロナ禍を経て、室内で定期的に換気を行う重要性が改めて注目されています。とくに、免疫力の低下した患者が多くいる病院では、飛沫感染や接触感染を避けるためにも、適切な換気システムを取り入れることが必要です。
とくに、入院病棟や長時間の治療が行われる透析室、手術室などは、空調気流も大切なポイントです。利用する患者の不安を取り除くためにも、院内環境をより安全に保つ必要があるでしょう。
本記事では、病院における換気の重要性や基準、換気システムの特徴を解説します。記事の最後では、病院の換気にも役立つ空気清浄機を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
病院における換気の重要性
ウイルスの感染防止対策において、病院における換気は欠かせないものです。近年ではとりわけ新型コロナウイルスの飛沫感染、エアロゾル感染防止の重要性が高く、病院でも換気システムの見直しが行われています。
エアロゾル感染とは、飛沫よりも細かく微細な粒子であるエアロゾルを吸い込んで感染することを指します。エアロゾルには花粉や黄砂なども含まれており、空気中に長く漂うため、密閉空間ではとくにエアロゾル感染の可能性が高まります。
実際に、コロナウイルスの集団感染が起きた場所で共通しているポイントとして、「換気が行われていない密閉空間であった」ことが挙げられています。
院内感染を防ぐためにも、適切な換気システムの導入が必要不可欠です。
病院の換気システムの特徴
病院の換気システムの特徴として、以下の2点が挙げられます。
● システム上の特徴はないが、病室の役割によって換気方法が異なる
● 病院ではエアハン(エアハンドリングユニット)が使われている
それぞれの特徴を詳しく解説します。
システム上の特徴はないが、病室の役割によって換気方法が異なる
病院内の換気システムは、病室の役割によって異なります。例えば、手術室と隔離病室(感染病室)においては、空気の排気量と入ってくる外気量が以下のような関係になる必要があります。
• 手術室:OA(外気)>EA(排気)
• 隔離病室(感染病室):EA(排気)>OA(外気)
手術室では外からのウイルスの侵入を防ぐ必要があるため、室内の気圧をOA(外気)よりも高くする「陽圧化」を取り入れて、室内の空気を清潔に保ちます。陽圧化によって、外気が入り込みにくい環境を作っています。
一方、隔離病室では室内のウイルスを室外に漏れにくくするため、外よりも気圧が低い「陰圧状態」にし、外へと逃さない工夫がされています。これにより、感染拡大を防ぐことが可能です。
関連記事:「陽圧とは?工場や医療現場で活用されている陽圧室について解説」
病院ではエアハン(エアハンドリングユニット)が使われている
病院では、多くの場合エアハン(エアハンドリングユニット)が使われています。エアハンとは、病院のような大きな空間内の空気環境を整えるための空調設備です。
室内の空気を吸い上げて、建物内の換気(RA:レターンエア)と 外気(OA:アウトドアエア)をフィルタに通して空気を浄化後、送風機から室内に給気(SA:サプライエア)しています。
このフィルタの能力が低いと、エアロゾルが濾過されずに供給されてしまうため、米国CDC(Centers for Disease Control and Prevention:疾病管理予防センター)では、フィルタのクラスを表すMERV値(Minimum Efficiency Reporting Value)において、13以上を推奨しています。
医療機関における換気の基準
そもそも、医療機関は、その目的に応じて「清純度クラス」といわれる区分が5つに分けられています。
クラスの区分の例
清純度クラス | 区分名 | 代表例 |
Ⅰ | 高度清潔区域 | バイオクリーン手術室 易感染患者用病室 |
Ⅱ | 清潔区域 | 一般手術室 |
Ⅲ | 準清潔区域 | 未熟児室 膀胱鏡・血管造影室 手術手洗いコーナー NICU・ICU・CCU 分娩室 |
Ⅳ | 一般清潔区域 | 一般病室 新生児室 人工透析室 診察室 など |
Ⅴ | 汚染管理区域 | 細菌検査室・病理検査室 隔離診察室 解剖室 など |
拡散防止区域 | 患者用便所 使用済理念室 汚染処理室 霊安室 など |
※出典:一般社団法人日本医療福祉設備協会規格「病院設備設計ガイドライン(空調設備編)」
そして、各区分に応じて、必要換気風量が定義されています。Ⅰに近い区分ほど、一時間あたり多くの換気風量が求められます。
換気には、前述したエアハンや、窓や扉を開ける自然換気、空気清浄機による換気が有効です。
各製品の性能にもよりますが、空気清浄機の中には、ウイルスや大気汚染物質などの超微粒子にも対応しているものもあり、医療現場で活躍します。
クリーンエア・スカンジナビアの空気清浄機はエアハンで補いきれない換気をサポートします
病院で多く導入されているエアハンは、大規模施設の空気を正常に保つために欠かせない空調設備ですが、エアハンだけでは十分に換気できない場合もあります。
エアハンで換気を補いきれない環境の場合、設置しやすくメンテナンスも充実した空気清浄機の利用がおすすめです。
クリーンエア・スカンジナビアの空気清浄機は、国内・海外の基準を満たしたHEPA14フィルタを使用しており、捕集困難とされるMPPS(0.1~0.2μm)の粒子を捕集できます。
また、導入する空間の広さに合わせて大きさが選べるため、病院内の限られたスペースに設置したい場合にも重宝するでしょう。導入後も専門スタッフによる定期メンテナンスがあるため安心です。
クリーンエア・スカンジナビアの空気清浄機は、国内の大学病院でも導入されています。音が小さいため、音に敏感な患者の病室に設置してもストレスを与えません。可動式なため病室の移動も楽に行えるでしょう。
機能性だけでなく、導入後のサポートで安心できる、クリーンエア・スカンジナビアの空気清浄機を、ぜひご検討ください。
■監修者情報
名前:四方理恵
プロフィール:
快適なくらしのために建築のリスクを考えながら、2023年だけで省エネにかかわる届出を200件以上提出し、そのうち補助金にかかわるBELS(ZEH)申請を100件以上行った。建築現場で培った経験から、近年急速に進む建物環境の法整備を実務の中で実感しています。
ゆうりFP(株)二級建築士事務所 取締役(https://ulifp.com/)
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