空気感染とは?飛沫感染との違いや対策方法を知り予防に努めよう

2022.11.2 空気環境

空気感染とは?飛沫感染との違いや対策方法を知り予防に努めよう

2022年9月現在、新型コロナウイルス感染症の世界的な大流行が続くなかで、病原体の感染経路に関するニュースや特集を目にする機会が多くなりました。新型コロナウイルスの感染経路については諸説ありますが、近年では「空気感染」が主であるとされています。

しかし、「そもそも空気感染についてよく知らない」「どのような対策に取り組むべきかわからない」といった方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、空気感染の基礎知識を踏まえつつ、「飛沫感染」との違いや有効な対策方法について解説します。

空気感染とは

空気感染とは、空気中を浮遊している「飛沫核」を吸い込むことで起こる感染です。空気感染するおもな感染症としては、以下のようなものが挙げられます。

・新型コロナウイルス感染症
・はしか
・水ぼうそう(水痘)
・結核

人が言葉を発したり、咳やくしゃみをしたりすると、飛沫(しぶき)が口から飛び散ります。感染者から出た飛沫には水分(唾液・鼻水など)だけではなく、病原体も含まれていることが特徴です。

飛沫はしばらくすると水分が蒸発して、より小さな微粒子である飛沫核へと変化しますが、病原体はそのまま残ります。

この飛沫核を吸い込み、気道や粘膜から病原体が侵入すると、結果的に空気感染を引き起こしてしまうのです。

飛沫感染と空気感染の違い



空気感染とは別の感染経路として、「飛沫感染」が挙げられます。

飛沫感染とは、会話、咳、くしゃみなどで放出される、病原体を含んだ飛沫を吸い込んで感染することです。飛沫感染する感染症としては、下記のような例が挙げられます。

・インフルエンザ
・風疹
・おたふくかぜ
・百日咳
・マイコプラズマ感染症
・RSウイルス感染症

空気感染とよく混同されがちですが、飛沫核ではなく「飛沫」を通じて感染する点に違いがあります。

飛沫は水分を含んでいる分、飛沫核より重量があってサイズも大きめ(5μm以上)なので、最大で半径2m程度しか浮遊できません。また、空気中に飛び散ってからすぐ地面に落ちるため、病原体を持っている感染者の近くにいなければ感染の可能性も低くなります。

一方、空気感染を引き起こす飛沫核は水分を含まないため、飛沫より軽くサイズも小さめ(5μm未満)です。長時間にわたって空気中を漂う性質上、気流に乗って病原体が移動しやすいので、感染者から離れた場所にいても感染リスクがあります。

なお、薬局やコンビニで買える不織布マスク(サージカルマスク)は、飛沫感染への対策としては有効ですが、空気感染への対策には使えません。顔とマスクの間にできる隙間から空気が入り込んでしまううえ、飛沫核のサイズが小さすぎて捕集できないからです。

これらの違いを踏まえると、感染経路としては空気感染のほうが脅威であり、対策も難しいといえるでしょう。

なお、空気感染と似た用語として「エアロゾル感染」も存在します。エアロゾルとは、空中に浮遊する粒子のことを指し、エアロゾル感染はウイルスが含まれているエアロゾルを吸い込むことによる感染を指します。空気感染と同義と捉える場合と、別ものとして捉える場合で立場が分かれています。

昨今では、新型コロナウイルスの感染拡大において、感染症の専門家からエアロゾル感染に集中した感染防止対策を求める声が上がるなど、話題となっています。

エアロゾル感染に関する詳細は、以下の記事で解説しています。ぜひご確認ください。

関連記事:
飛沫感染と空気感染の違いは?感染予防策について知ろう
エアロゾル感染とは?飛沫感染との違いや新型コロナウイルス感染予防の注意点

空気感染をはじめとする感染への対策



空気感染を防ぐためには、飛沫感染との違いや飛沫核の性質に関する正しい知識を身につけたうえで、適切に対策することが大切です。

空気感染を含む感染への対策としては、下記のような方法が挙げられます。

・定期的に換気する
・定期的に手洗いをする
・手指を消毒する
・マスクを着用する
・3密を回避する

それぞれ概要や注意点を詳しく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。


◇定期的に換気する

室内を定期的に換気することは、感染症対策の基本といっても過言ではありません。特に空気感染、飛沫感染は、空気中を漂っている病原体を吸い込むことで発生するため、換気できれいな空気を保つことが大切です。

換気方法には、大きく分けて「自然換気」と「機械換気」の2種類があります。

・自然換気
自然換気とは、機械を使わず給気・排気する方法です。風が流れる方向・温度差・圧力差など考慮しつつ、空気の通り道を作ります。

スムーズに換気するためには、2ヵ所の窓を開けて空気の入口および出口を作ることが大切です。特に対角線上にある窓を開けると、室内全体の空気を循環させることができます。

窓が1ヵ所しかない場合は、扇風機やサーキュレーターを使いましょう。窓に向かって風が流れるように設置すると、効率的に換気できます。

窓がない部屋であれば、扇風機やサーキュレーターをドアに向けて設置し、室外で空気を循環させてください。

・機械換気
機械換気とは、送風機(ファン)などの機械を使って強制的に換気する方法です。給気・排気のどちらかを自然排気で行なうこともあり、さらに以下3種類の方法に分類されています。

・第一種:給気・排気ともに機械換気
・第二種:給気は機械換気・排気は自然換気
・第三種:給気は自然換気・排気は機械換気

自然換気より計画的かつ効率的に換気できる一方、電気代や設置費用などがかかるデメリットもあります。

・【備考】空気清浄機もおすすめ
空気感染、空気感染(エアロゾル感染含む)に対する効果をより高めたいなら、空気清浄機の併用もおすすめです。厚生労働省、WHO、CDCでは、換気以外の対策方法としてHEPAフィルターろ過式の空気清浄機の効果を認めており、空気中の有害物質(ウイルス・細菌も含む)を捕集し、よりきれいな空気を作ることができます。

ただし、定期的にフィルターを掃除すること、空気の通り道を阻害しない場所に設置することが大切です。


◇定期的に手洗いをする

手洗いは空気感染、飛沫感染への直接的な対策にはならないものの、接触感染への対策としては非常に有効です。一般的な「風邪」は接触感染がおもな感染経路であるとされており、日頃の健康管理のためにも、こまめな手洗いはやはり重要といえるでしょう。

手洗いをする際には、石鹸やハンドソープをしっかり泡立てること、30秒以上洗うことが大切です。


◇手指を消毒する

手指のアルコール消毒も手洗いと同様に、空気感染、飛沫感染を防ぐことはできませんが、接触感染に対して高い効果を発揮します。以下のようなタイミングでこまめにアルコール消毒を行うことを習慣づけましょう。

・お店で商品を触る前後
・手すりやドアノブに触れる前後
・宅配便などを受け取った後
・外で使用したものを自宅に持ち帰った後
・マスクをする前後


◇マスクを着用する

一般的な不織布マスクは、顔との隙間から空気が入り込む、飛沫核がマスクを通り抜けるという理由から、着用しても空気感染の対策にはなりません。しかし、飛沫はしっかりキャッチできるので、飛沫感染なら防ぐことができます。

空気感染を予防する場合、おもに医療用として使われている「N95マスク」か、繊維が非常に細かい「ナノフィルターマスク」が必要です。薬局や通販サイトで販売されているので、より強固に対策したいならチェックしてみましょう。


◇3密を回避する

空気感染、飛沫感染を防ぐためには、いわゆる3密を避けることも大切です。

・密閉:換気されていない密閉空間
・密集:大勢の人々が集まる場所
・密接:飛沫が届くほど近い状態

特に、空気感染は広範囲にわたって感染リスクが発生するため、他の対策も並行することが大切です。

職場の感染症対策に空気清浄機を

オフィスや店舗などで感染症対策に取り組む場合、空気清浄機を導入することで、さらに感染リスクを抑えることができます。特に、新型コロナウイルスの主たる感染経路である空気感染を予防したいなら、クリーンエア・スカンジナビアのFS30 HEPAがおすすめです。

FS30 HEPAで使われている「HEPA14フィルター」は、MPPSと呼ばれる、最もろ材を透過しやすい微粒子(おおよそ0.1~0.2μmの範囲、新型コロナウイルスの大きさは直径0.1μm程度と言われている)に対応しているので、空気感染を引き起こす飛沫核も含めて、空気中の有害物質を逃さず捕集できます。

また、最大音量45dBの静音設計で製造されているため、稼働音もほとんど気になりません。従業員の集中力を削いだり、お客様を不快にさせたりすることもないでしょう。

まとめ

新型コロナウイルスのおもな感染経路とされている「空気感染」は、「飛沫感染」とよく似ていますが、原因となる飛沫核がより長時間かつ広範囲にわたって漂う、サイズが小さく捕集が難しい、といった違いがあります。空気感染は手洗いやアルコール消毒では予防できないため、換気による対策が大切です。

また、空気清浄機で室内の空気をきれいにすることも、有効な感染症対策の一つといえます。飛沫核などの有害物質を捕集できるだけではなく、空間の快適性アップにもつながるので、ぜひ空気清浄機の導入を検討してみてください。

クリーンエア・スカンジナビアの空気清浄機について、詳しくはこちら



<監修者>
大塚 真紀(おおつか まき)

経歴:
医師、医学博士。博士号は、マウスを用いた急性腎障害に関する研究で取得。専門は、腎臓内科、透析。
都内の大学病院勤務を経て、現在はアメリカ在住。3歳と5歳の娘たちの育児のかたわら、医療関連の記事の執筆や監修、動画監修などを幅広く行なっています。

保有資格:
●医学博士
●総合内科専門医
●腎臓内科専門医
●透析専門医