JIS規格のHEPAフィルターの基準とは?空気清浄機購入前にチェックしたい規格について解説

2022.10.7 空気環境

JIS規格のHEPAフィルターの基準とは?空気清浄機購入前にチェックしたい規格について解説

花粉・ハウスダストなどのアレルギー対策として、購入されることが多い空気清浄機。

その要となるフィルターで多く使用されているのが、「HEPAフィルター」という高性能フィルターです。しかし、一口にHEPAフィルターといっても、各国によって規格や基準に違いがあります。

本記事では、日本産業規格の「JIS」、国際標準化機構で定められた「ISO」、欧州統一規格の「EN」の3つの規格による、HEPAフィルターの製品基準について解説します。高品質で高性能な空気清浄機を選ぶ際の一つの目安として、購入する前にチェックしてみてください。

JISで定められているHEPAの基準とは?



日本の国家規格であるJIS規格(日本産業規格)では、JIS Z 8122においてはHEPAフィルターを次のように規定しています。

「定格風量で粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率を有しており、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルター」

粒径が0.3μm(マイクロメートル)の粒子とは、直径0.0003mmの微細粒子のことを指します。花粉症で悩まされる人も多いスギ花粉は直径30μmです。その他の花粉は平均して直径10μmで、ハウスダスト・ダニ・カビといった微生物も直径5μm以上なので、HEPAフィルターであれば99.97%これらをキャッチできる性能を持っているといえます。

代表的な病原性ウイルスであるインフルエンザウイルスや新型コロナウイルスの大きさは直径0.1μm程度であるため、JIS規格(日本産業規格)のHEPAフィルターでは捕集が困難な場合があります。

なお、別のJIS規格であるJIS B 9927-1において、2022年2月21日からHEPAを含む高性能フィルターのMPPS粒子の捕集率について、定義変更が施行されました(※)。これについては次章で説明しています。

また、HEPAよりも粒子捕集率を上げたULPAという超高性能フィルターもあります。ULPAの定義は以下のとおりです。

「定格風量で粒径が0.15μmの粒子に対して99.9995%以上の粒子捕集率を持ち、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルター」

※MPPS:Most Penetrating Particle Sizeの略で、最もろ材を透過しやすい粒子径(おおよそ0.1~0.2μmの範囲に含まれる)とされています

◇高性能フィルターに関する試験方法や評価基準の変更
JISでは、JIS B 9927‐1 において、2022年2月21日から高性能フィルターのMPPS粒子の捕集率について、定義変更が施行されました。具体的には、0.1~0.2μmのMPPS粒子に対する総合捕集率が、95 %から 99.999995%までの高性能フィルターの分類・性能・試験および表示を規定しています。

近年、JIS規格は国際規格との整合性を図り変わっていく傾向にあります。今後、高性能フィルターの試験や評価は、MPPS粒子に対する捕集率を基準とする流れとなっていくと推測されます。

言い換えると、現在流通しているJIS規格のHEPAフィルターは、JIS B 9927-1に規定するHEPAフィルターの基準を満たしていない可能性があります。新たに空気清浄機を購入する際には確認されることをおすすめします。

海外で定められているHEPAの基準とは?

海外規格には、国際標準化機構で定められたISO規格や、欧州統一規格のEN規格などがあります。どちらも高性能フィルターに関してはMPPS粒子による試験を行なっています。ISOやENなどの海外規格のHEPAフィルターは、MPPS粒子での試験を経て分類されます。

ここでは、ISO、ENについて詳しく解説します。

◇ISOとは
国際規格であるISOは、製品、サービス、システムの基準を統一することで、国際間の取引をスムーズにする目的で作られた規格です。つまり、ISO規格に準拠している製品は、世界基準の品質を満たすことが保証されているといえるでしょう。

ISOには、大きく分けて以下2種類の規格があります。
・モノ規格(製品・部品に対する基準)
・マネジメントシステム規格(社内ルールや運営システム、作業工程の仕組みなどに対する基準)

クレジットカードやコピー用紙のサイズ、ネジ、コンセント、非常口のマークなど、さまざまなものがISOの対象です。

◇ISOでのHEPAフィルターの基準
HEPAフィルターの基準はISO 29463-1:2011で定められており、ISO35、ISO40、ISO45クラスがHEPAフィルターとされています。それぞれの基準は、以下のとおりです。

ISO35
・総合評価:捕集効率99.5%以上、透過率0.05%以下
・局部評価:捕集効率99.75%以上、透過率0.25%以下

ISO40
・総合評価:捕集効率99.99%以上、透過率0.01%以下
・局部評価:捕集効率99.95%以上、透過率0.05%以下

ISO45
・総合評価:捕集効率99.995%以上、透過率0.005%以下
・局部評価:捕集効率99.975%以上、透過率0.025%以下

◇ENとは
欧州の地域規格であるENは、EU加盟国間の技術基準を統一するために作られた規格です。EU加盟国では、EN規格を自国の国家規格として採用することが義務付けられているため、EN規格は発行されると、すぐに国内規格に置き換わります。

なお、欧州においてはISO規格よりもEN規格が優先されます。

◇ENでのHEPAフィルターの基準
HEPAフィルターについては、EN規格EN-1822-1によって定められ、H13、H14クラスがHEPAフィルターに該当します。それぞれの基準は、以下のとおりです。
H13クラス(ISO35と同等)
・総合評価:捕集効率99.5%以上、透過率0.05%以下
・局部評価:捕集効率99.75%以上、透過率0.25%以下

H14クラス(ISO45と同等)
・総合評価:捕集効率99.995%、透過率0.005%
・局所評価:捕集効率99.975%、透過率0.025%

なお、EN規格ではISO40にあたるスペックは規定されていません。

質が高いHEPAフィルターを選ぶには?



◇国内・海外の基準を満たしたクリーンエア・スカンジナビアのHEPAフィルター
クリーンエア・スカンジナビアでは、多くの空気清浄機にEN規格H14クラスのHEPAフィルターが使用されています。前述のとおり、H14クラスはISO45クラスに相当し、国際規格に準拠したHEPAフィルターのなかでは最も高性能なものです。

クリーンエア・スカンジナビアの空気清浄機は、多種多様な粒子や飛沫の捕集が可能で、設置しやすいことが特徴です。ここでは、クリーンエア・スカンジナビアの空気清浄機を2つ紹介します。

・QleanAir FS 30 HEPA
静音設計の「QleanAir FS 30 HEPA」はオフィス・教室・ホテル・病院・図書館など、静かさが求められる場所に向いています。最大音量は45dbと、最も音が出る設定でも図書館内や静かな住宅街の昼間程度の音とされており、ほとんど気にならない音量です。

また、H14クラスのHEPAフィルターが搭載されているので、医療施設の診察室など室内環境に特に配慮しなければならない空間にも適しています。

HEPAフィルターは、新型コロナウイルスの流行で話題となった、ウイルスを含んだエアロゾル対策としても有効である可能性が示唆されています。0.1~0.2μmの粒子まで捕集できる性能があるため、花粉やハウスダストはもちろん、PM2.5やたばこの煙も捕集可能です。

なお、「QleanAir FS 30 HEPA」はキャスター付きなので、設置したい場所まで簡単に移動できます。

QleanAir FS 30 HEPA

・QleanAir FS 70
H14クラスのHEPAフィルター搭載の「QleanAir FS 70」は、よりキレイな空気環境を求められる病院や大勢の人が集まる室内の空気を正常に保ちたいエリアに向いています。処理風量が最大毎時2,000立方メートルなので、体育館やスタジオなどの広い空間への設置にも最適です。

複数のフィルターを組み合わせることで、病院の処置室、ガスや粉塵の多い工場内など、よりデリケートな管理が必要な環境にも対応できます。

通常の電源があればどこでも設置でき、可動式・据え置き型両タイプでの使用が可能です。

QleanAir FS 70

まとめ

現在流通しているJIS規格のHEPAフィルターは、従来の基準で作られている可能性がありますので、新たに空気清浄機を購入する際には、旧規格「JIS Z 8122」か新規格「JIS B 9927」のどちらに該当するか確認されることをおすすめします。

HEPAフィルター搭載の空気清浄機を購入する際には、どの規格に準拠したHEPAフィルターを使用しているのかを確認しましょう。