分煙とは?改正健康増進法のポイントを押さえて正しく分煙しよう

2022.10.7 分煙

分煙とは?改正健康増進法のポイントを押さえて正しく分煙しよう

「このお店は分煙しています」と謳っている店舗に入ると、喫煙室以外での喫煙はできないことが多いものです。「なるほどこれが分煙か」、と思う方も多いでしょう。しかし、分煙にはさまざまな方法があり、店舗や施設によって取り入れ方が異なる場合もあります。

また、店舗や施設での分煙は、2020年4月1日より全面施行された改正健康増進法のルールに従わなければなりません。

この記事では、分煙に関する正しい定義や、改正健康増進法に基づく分煙のルールなどについて紹介します。

分煙とは

分煙といっても、「たばこを吸う場所と吸わない場所を区分けする」という程度で、ただ漠然としたイメージをお持ちの方も多いでしょう。そこでまずは、分煙の正しい定義について、詳しく紹介します。

◇分煙とは喫煙する場所を定め、それ以外の場所を禁煙とすること
喫煙する場所を決めておき、その場所以外では、たばこを吸わないようにすることが分煙です。

2003年5月に「健康増進法」が初めて施行され、受動喫煙を防ぐ努力義務が課せられたことにより、多くの店舗や施設で分煙が実施されるようになりました。

◇分煙の目的
分煙の目的は、自分の意志に関わらず他人のたばこの煙を吸わされる、受動喫煙を防止することです。また、たばこを吸わない人にとっては、たばこの煙が不快に感じられる場合もあり、喫煙者と非喫煙者の双方が快適に過ごせるよう配慮するという意味合いもあります。

◇分煙の種類
分煙の代表的な手法には、以下の2通りが挙げられます。

・空間分煙
喫煙できる場所をあらかじめ決めておき、それ以外の場所を禁煙とする方法です。「喫煙席」と「禁喫煙席」にエリアを分けるなど、ファミリーレストランやカフェ等の飲食店でよく実践されています。

・時間分煙
時間分煙は同じ場所で時間帯によって、喫煙と禁煙を変更する方法です。「禁煙タイム」を設けているオフィスや飲食店などがその代表例ですが、現在は健康増進法の改正によって完全分煙化が進んでいるため、この方法を採る施設は少なくなりつつあります。

分煙を進める際の基本的な考え方

次に、分煙を進めるうえで押さえておきたい基本の考え方について解説します。

◇分煙に大切なのは給気・排気による換気
喫煙場所の空気の入れ替えは、分煙においてとても大切です。換気扇で排気だけを行なっている喫煙場所もありますが、実はこの方法では効果的な換気につながりません。必ずガラリ(屋外と室内を隔てる壁に取り付ける給気口)などを設置し、空気を取り入れたうえで排気を行なって、正しく空気の入れ替えをしましょう。

◇煙の「上昇する」性質に着目して分煙化
煙は上方向に立ち上っていく性質を持っています。この特徴を生かした分煙を行なうことで、受動喫煙をさらに効果的に防止できます。例えば、1階フロアと2階フロアで階層ごとに分煙する場合は、2階フロアを喫煙場所とすることで1階にいる人の受動喫煙が防止しやすくなるというわけです。

【分煙】喫煙・禁煙のルール、ポイントは4つ!



建物内や、お店、オフィスなどで分煙する際には、改正健康増進法のルールに従う必要があります。ここでは、改正健康増進法に基づく分煙・喫煙・禁煙のポイントを見ていきましょう。

◇原則、屋内は禁煙
改正健康増進法では、対象施設ごとに適用されるルールが異なります。

まず、「第1種施設」とされる学校や病院、児童福祉施設、行政機関などの公共性が高い施設は敷地内禁煙で、屋内に喫煙等の設備を設けることができません。

次に「第2種施設」には、第1種施設以外の多数の人が集まる施設やオフィス、宿泊施設、飲食店などが該当し、原則として屋内は禁煙です。

その他、バーやスナック、店内で喫煙可能なたばこ販売店、公衆喫煙所などの「喫煙目的施設」は、施設内での喫煙が可能です。ただし、いずれも喫煙目的室の基準を満たす必要があります。

仮に、禁煙場所で喫煙した場合や、禁煙場所に灰皿などの喫煙器具を設置した場合、都道府県知事の指導・勧告・命令を経ても改善が見られなければ、罰則(過料)が科される可能性があります。具体的には、禁煙場所での喫煙は30万円以下の過料、禁煙場所への喫煙器具の設置は50万円以下の過料となります。

◇喫煙室の設置
飲食店やオフィスなどの第2種施設は原則屋内禁煙ですが、要件を満たせば、屋内に「喫煙専用室」または「加熱式たばこ専用喫煙室」を設置することが可能です。

また、喫煙を主目的とするスナックやバー、店内で喫煙可能なたばこ販売店などは、喫煙目的施設に該当し、以下の要件を満たした「喫煙目的室」を設置する必要があります。

<要件(技術的基準)>
・出入口にて室外から室内に流入する空気の気流が毎秒0.2メートル以上であること
・たばこの煙が室内から室外に流出しないよう、壁や天井などで区画されていること
・たばこの煙が屋外または外部に排気されていること

上記要件をクリアするには、排気口の汚れ対策など継続的なメンテナンスが必要で、突発的なコストが発生する可能性があるでしょう。また、今後各種喫煙室の要件が変更された場合、再度工事が必要になるリスクも考えておかなければなりません。

なお、事業者が各種喫煙室を設置する場合、必要な経費の一部について国の助成を受けられる可能性があります。ただし助成を受けるには、設備の運用状況に加えて、帳簿・書類の保存状況に関して、毎年報告を行わなければなりません。

◇20歳未満は、喫煙エリアへの立入り禁止
喫煙を目的としていなくても、20歳未満であれば喫煙エリアへ立ち入ることはできません。たとえ従業員であっても、喫煙エリアに20歳未満を立ち入らせることは禁止です。

20歳未満を喫煙エリアへ立ち入らせた場合は、その施設の管理者などが指導・助言の対象となります。

◇喫煙室への標識の掲示義務
店舗や施設内の喫煙室の出入口には、喫煙室がある旨を示す指定標識の掲示が義務付けられています。また同時に、店舗や施設内の出入口などに、喫煙室があることを示す標識も掲示しなければなりません。

紛らわしい標識の掲示や、標識の汚損などがあった場合、都道府県知事による指導を経ても改善が見られなければ、50万円以下の過料が適用されるおそれがあります。

飲食店でも分煙や全面喫煙はできる?

前章でお伝えしたとおり、飲食店は原則として屋内禁煙ですが、要件を満たす喫煙室を屋内に設置し、分煙することは可能です。

ここでは、喫煙に関する飲食店の選択肢やルールを詳しく解説します。

◇たばこに関する飲食店の選択肢
飲食店は、店内の喫煙環境を以下の3つの選択肢から選べます。

・全面禁煙
・分煙
・全面喫煙

ただし、全面喫煙については、既存特定飲食提供施設のみに認められるもので、経営規模などにより認められないケースもあります。

◇飲食店での喫煙ルール
飲食店での喫煙ルールは、大きく分けて「大きな飲食店や新規店」と「小さな飲食店や既存店」の2つのケースによって異なります。

・大きな飲食店や新規店の場合
以下のいずれかの条件に該当する経営規模の大きな飲食店や新規店の場合は、全面禁煙もしくは分煙のどちらかを選択することが可能です。

<店舗の条件>
・2020年4月1日以降に営業を開始した(する)飲食店
・客席部分の面積が100平方メートル超
・資本金5,000万円超

<選択肢>
・全面禁煙
・喫煙専用室を設置(飲食不可)
・加熱式たばこ専用喫煙室・フロアを設置(飲食可)
・屋外に喫煙スペースを設置

「加熱式たばこ専用喫煙フロア」は、例えば店舗内に複数階ある場合、1階を禁煙・2階を喫煙にし、壁や天井等で区画することで設置が可能になります。

・小さな飲食店や既存店の場合
経営規模の小さな飲食店は、喫煙室のためのスペースを確保しにくいことや、設置費用が経営を圧迫する可能性が懸念されます。そのため、次の条件をすべて満たす飲食店(既存特定飲食提供施設)は、経過措置として店内を全面喫煙、もしくは従来のエリア分煙・時間帯分煙を継続することも可能です。

ただし、20歳未満の来店客や従業員は、店舗に立ち入ることができなくなる点に注意してください。

なお、都道府県が独自に法律より厳しい条例を設けている場合があります。例えば、東京都において従業員を雇っているお店では、この経過措置は適用外となっているため、施設の一部もしくは全面を「喫煙可能室」にすることが不可となります。

<店舗の条件>
・2020年4月1日時点で営業を開始している飲食店
・客席部分の面積が100平方メートル以下
・資本金5,000万円以下

<選択肢>
・全面禁煙
・喫煙専用室を設置(飲食不可)
・加熱式たばこ専用喫煙室・フロアを設置(飲食可)
・屋外に喫煙スペースを設置
・全面喫煙

◇スナックやバーなら全面喫煙も可能
喫煙目的施設であるスナックやバーなら、全面喫煙やエリア分煙を継続できます。

ただし、あくまでも喫煙が主目的の施設に限定されるので、社会通念上の主食(米飯類、パン類、麺類等)とされる食事を中心に提供する飲食店は対象外です。

オフィスでの分煙における選択肢



オフィスでは、喫煙環境を以下の4つの選択肢から選べます。

・全面禁煙
・喫煙専用室を設置(飲食等不可)
・加熱式たばこ専用喫煙室を設置(飲食等可)
・屋外に喫煙スペースを設置

オフィスの場合も、喫煙専用室や加熱式たばこ専用喫煙室には、20歳未満の方が立ち入ることはできません。

喫煙専用室が欲しいならクリーンエア・スカンジナビアの分煙キャビンがおすすめ

飲食店やオフィスに新たに喫煙室を用意するのは、スペースの面でもコストの面でも簡単なことではないでしょう。

また、大阪府では2025年の万博開催に向けて、全国に先駆けた受動喫煙対策を進めています。改正法で経過措置対象としている客席面積100平方メートル以下のうち、30平方メートルを超える飲食店は、2025年4月より原則屋内禁煙になります。

それにならい、全国的に喫煙専用室の要件が変更される可能性もあり、その場合は再度工事が必要になるリスクがあります。

そこでおすすめなのが、クリーンエア・スカンジナビアの分煙機(キャビンソリューション)です。

クリーンエア・スカンジナビアの分煙キャビンは、100V電源さえあれば設置スペースが自由自在で、設備費用がかかりません。また、導入後は専門スタッフによる定期メンテナンスのほか、喫煙専用室の要件が変更された場合の基本的な対応もしてくれるため、突発的なコストが発生しにくくなります。

さらに、喫煙専用室を設置した場合のような「喫煙者と非喫煙者の分断」が起こりにくい設計であるため、社内コミュニケーションの活性化にも寄与するでしょう。

クリーンエア・スカンジナビアの分煙機(キャビンソリューション)

まとめ

この記事では、分煙の正しい定義や、改正健康増進法に基づく飲食店などでの分煙に関する選択肢・ルールなどを紹介しました。

飲食店の分煙化も、現段階でかなり進んでいるという印象をお持ちの方も多いのではないでしょうか。実際に、経過措置が認められている経営規模の小さな飲食店でも、すでに喫煙所を設けて営業しているところも少なくありません。またお店を分煙化することで「時代にマッチしている」「考え方が進んでいる」と、お客様から好意的に見られるケースも増えています。

分煙化を検討する際には、煙の性質や換気の効率なども考慮し、効果的な分煙が実現できるようにしましょう。