オイルミストは健康に影響を及ぼす!発生原因や有効な対策とは

工場での切削加工などの作業中には、「オイルミスト」が発生することがあります。オイルミストとは、切削作業に使用する潤滑材(切削油)が飛散して空気中に浮遊したもので、放置すると健康被害や作業環境の悪化、さらには機械への悪影響を引き起こす恐れがあります。
この記事では、オイルミストの発生要因を詳しく解説し、健康や作業環境、機械・設備に与える影響、さらに関連する規制についても紹介します。また、オイルミスト対策として有効な方法も解説していますので、ぜひ参考にしてください。
オイルミストの発生要因
「オイルミスト」とは油が微粒子化して空気中に浮遊したもので、おもに油を使用した加工作業や調理の際に発生します。
より具体的な発生状況として挙げられるのは、以下のようなケースです。
・切削油を使用した高速の切削加工、旋削加工業務において、作業にともない切削油が微細化され空気中に舞う |
・切削加工時に、切削油・潤滑油が作業工程で高温になって蒸発する |
・業務中、圧縮空気を作る工程において潤滑油が混入する |
切削加工では、機械を高速で動かすことで加工時間を短縮し、生産効率を高めることができます。
一方で、切削加工中には、素材と刃先の摩擦によって高温が発生しやすく、工具の劣化や破損を招くリスクが高まります。この際、切削油や潤滑油が蒸発することで、空気中にオイルミストが発生する可能性もあります。
さらに、切削をはじめとする工作機械の性能維持には、機械の駆動や冷却、切りくず除去などを行う圧縮空気の作成が不可欠です。
しかし、圧縮空気を作成する過程で潤滑油が混入すると、それもまたオイルミストの発生源となるため、十分な管理と配慮が求められます。
オイルミストが与える影響
発生・飛散したオイルミストは、そのままにしておくと人体や作業環境、設備などに悪影響をおよぼす恐れがあります。ここでは、オイルミストが与える影響について解説します。
◇健康への影響
オイルミストは、吸い込んだり皮膚に付着したりすると、呼吸器系の疾患や皮膚疾患を生じさせる可能性があるため、注意が必要です。また、特有のにおいによって頭痛や不快感などの体調不良につながる恐れもあります。
もともとアレルギー性の疾患を抱えている場合は、オイルミストの吸い込みや皮膚への付着によって症状が悪化する可能性があります。
さらに、PAHs(多環芳香族炭化水素)を多く含むオイルミストには発がん性が指摘されており、健康リスクを避けるためにも十分な注意が必要です。
◇作業環境への影響
オイルミストを放置すると、工場内の天井や床、壁面などに油分が付着し、汚染されてしまいます。油で床が滑りやすくなると、転倒や滑落などの事故につながるリスクもあるでしょう。
また、オイルミストによる視界不良が作業効率の低下を招くほか、油分への引火による火災の危険性もあるため、十分な対策が求められます。
◇機械や設備への影響
オイルミストは、人体や工場内の床や天井だけでなく機械や設備にも付着し、さまざまな不具合や故障を引き起こす原因となります。
例えば、機械内部や制御盤、空調設備の内部などに油分が入り込んだ場合、故障やショート、部品の腐食、空調のフィルター詰まりが起きやすくなります。ショートは機器の損傷だけでなく、火災を発生させる恐れもあり、非常に危険です。
また、オイルミストが原因で機械や設備に不具合が起きると、メンテナンスにかかるコストの増大や生産能力の低下にもつながります。
オイルミストに関する規制
日本では、工場内で発生するオイルミストに対する直接的な法規制は設けられていません。しかし、公益社団法人日本産業衛生学会が許容濃度に関する勧告値を公表しており、これがひとつの目安となります。
同学会が示す許容濃度は3㎎/㎥※ですが、この濃度では視界が悪くなるため、基準としてはやや緩やかだといえるでしょう。
引用:日本産業衛生学会|許容濃度等の勧告(2024年度)
法規制が存在していないことから、日本では工場を稼働している各企業が独自に基準値を設定したうえで対策を実施しているのが現状です。
また、米国の国立労働安全衛生研究所NIOSHでは許容濃度を0.5㎎/㎥と設定しており、大手自動車メーカーなどはこの基準に則っています。
加えて、各国におけるオイルミストおよび金属加工油(MWF)に対する許容濃度や測定方法は国ごとに異なります。これにより、日本の基準が比較的緩やかであることや、諸外国ではより厳格な指標が設定されている現状が確認できます。
【オイルミストおよびMWFに適用される各国の暴露限界値】
引用:エアロゾル研究|オイルミストの労働衛生に関する規制とその課題
ただし、たとえ濃度が基準値を下回っていたとしても、人体の疾患発生率の高さや環境、設備へのリスクがあるため、対策は不可欠です。
オイルミスト対策には工場用の空気清浄機が有効
「オイルミストの効果的な対策を講じたい」と考えている企業担当者の方は多いのではないでしょうか。また、ミストコレクターなどすでに何らかの対策を実施しているものの、「より効果的な方法があるなら知りたい」と考えている方もいるかもしれません。
対策方法の一つとして、工場用の空気清浄機を設置して環境改善を図ることが効果的です。空気清浄機を導入すれば、工場内に広く飛散したオイルミストや粉塵を捕集・吸着し、室内の空気を効率よく浄化することが可能になります。
例えば、金属加工現場では、切削加工や研磨作業、レーザー加工、ブラストなど多様な工程があり、それぞれのプロセスでオイルミストや粉塵が発生するリスクがあります。
特に精密切削工場のように、室温はエアコンで管理できても窓を開けた換気が難しい環境では、オイルミストが充満しやすくなるケースも少なくありません。
その点、空気清浄機は狭い室内にも設置しやすく、こうした各工程で生じるオイルミストや粉塵を効果的に捕集できます。さらに、複数台を併用すれば、より高い空気清浄効果も期待できます。
作業環境や機械・設備を守るため、また従業員の健康維持のためにも、工場用の空気清浄機の導入をぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
クリーンエア・スカンジナビアのQleanAir FS 70で作業環境を安心・安全に保とう
オイルミストや粉塵対策で工場用の空気清浄機の導入を考えている方は、ぜひ、クリーンエア・スカンジナビアの「QleanAir FS 70」をご検討ください。
QleanAir FS 70は、製造工場や倉庫、物流など、室内の空気の品質管理が欠かせない事業向けに開発された空気清浄機です。複数のフィルターの組み合わせによってオイルミストや粉塵をしっかり捕集するとともに、浄化された空気を室内、もしくは特定のエリアに送ります。
フィルター構成や、ベンド管などの付属品は、設置場所の条件やニーズに合わせてカスタマイズ可能です。室内のほかの換気装置とは独立した動作を行なうため、通常電源のみで設置でき、設置場所の変更もしやすいのが強みです。
【QleanAir FS 70の導入事例】
◇株式会社松井色素化学工業所
水性インクや水性顔料、機能性色素の研究・開発・販売を行う株式会社松井色素化学工業所様では、製造過程で発生するホルムアルデヒドの捕集・除去が大きな課題となっていました。
「QleanAir FS 70」を導入するにあたり、環境測定業者に依頼して空気中のホルムアルデヒド濃度を測定し、安全基準を満たしていることを確認しました。
導入後は、作業従事者から「作業時の目や喉の痛みがなくなった」という声も寄せられ、環境改善効果を実感されています。
また、フィルター交換はサービス担当者が定期的に訪問して対応しているため、現場の負担もなく、スムーズなメンテナンス体制に高い評価をいただいています。
◇オラックス社
オラックス社(AB Orax)様は、墓地ないし遺体安置所向けの機械や製品を開発・製造している企業です。
オラックス社様の工場では、4人が同時に溶接と研磨を行なう工程において、大量の溶接ヒュームと研磨くずが生じることによる空気の汚染や排気不足が課題となっていました。
そこでQleanAir FS 70を導入し、溶接台の近くに設置したところ、空気中の微粒子は平均で85%削減して、製造環境が大きく改善されました。
製品もよりクリーンとなり、現場の清掃も楽になったことで、設備点検やメンテナンスなどの全体的なコスト削減にもつながっています。
レンタルはメンテナンス込み、自立型のため必要に応じて移動が可能な点も、高い評価をいただいています。
まとめ
切削加工などの作業工程で発生するオイルミストは、人体への悪影響だけでなく、作業環境や機械・設備にも深刻な影響を及ぼす可能性があるため、適切な対策が欠かせません。
効果的な対策方法のひとつとして、工場用空気清浄機の導入が挙げられます。
空気清浄機を設置すれば、オイルミストだけでなく、作業中に発生する粉塵も効率よく捕集できるため、作業環境の改善に大きく貢献します。
工場内のオイルミストや粉塵対策を検討している方は、クリーンエア・スカンジナビア社の「QleanAir FS 70」にぜひご注目ください。
オイルミストや粉塵を確実に捕集・除去し、クリーンな空気を再循環させることで、安全で快適な作業環境づくりをサポートします。
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