「マイクロプラスチックとは?人体への影響や有効な対策を解説」分煙対策(喫煙ブース)・空気清浄ガイド

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2025.5.13 空気環境

マイクロプラスチックとは?人体への影響や有効な対策を解説

近年、国内外を問わず脱プラスチックの取り組みが推進されていますが、その背景には「マイクロプラスチック」の存在があります。

実際、マイクロプラスチックは健康被害の原因となりうる物質ですが、人体にどのような影響を与えるのか知りたい方も多いのではないでしょうか。

この記事では、マイクロプラスチックの基礎知識と処理における問題を踏まえつつ、人体に与える影響、その影響を防ぐ対策について解説します。また、空気環境の改善に役立つ製品も紹介するので、ぜひご一読ください。

マイクロプラスチックとは



マイクロプラスチックとは、直径が5mm以下の微小なプラスチック粒子のことです。また、さらに粒子の小さいプラスチックもあり、「ナノプラスチック」と呼ばれています。ナノプラスチックは、粒径が1nm(ナノメートル)~1㎛(マイクロメートル)とされています。

どちらも、ペットボトルや食品トレーなどのプラスチック製品が劣化し、環境中に放出されることで発生する物質です。

特に河川や海へと流れ着きやすいので、魚をはじめとする海洋生物はもちろん、その海洋生物を原料・材料とする食べ物、河川を水源とする飲み水からも検出されています。

また、マイクロプラスチックは、大気や土壌からも検出されているため、あらゆる場所で人体に影響を与えかねない物質です。

OECD(経済協力開発機構)の調査データによれば、マイクロプラスチックの全世界における環境中への流出量は約270万トンと推計されています。

出典:マイクロプラスチック問題の現状と対策|環境省

◇マイクロプラスチックの種類

マイクロプラスチックは発生源により、以下の2種類に分類されます。

● 一次的マイクロプラスチック
● 二次的マイクロプラスチック

一次的マイクロプラスチックとは、最初から製品として微小サイズで作られたプラスチックのことです。例えば、歯磨き粉や洗顔料に含まれるマイクロビーズ、さまざまなプラスチック製品の原料となるレジンペレットなどが該当します。

二次的マイクロプラスチックは、外的要因によって5mm以下となった、より微小なプラスチックのことです。外的要因とは、おもに風・雨・波といった物理的な影響、紫外線・温度といった化学的な影響のことを指します。

二次的マイクロプラスチックの発生源はさまざまですが、特に製造現場から発生するケースが多く見受けられます。

【おもな発生源】
● プラスチック製品の製造(成形・加工作業による削りカスや粉塵)
● 繊維製品の製造(ポリエステルやナイロンなど合成繊維の切れ端)
● 研磨・洗浄(研磨剤や微小なプラスチックの飛散)
● プリント(塗料や接着剤に含まれるプラスチック樹脂の空気中への浮遊)
● ゴム製品の摩耗
● 廃棄プラスチックの搬送
● 樹脂粉末の計量投入充填

なお、プラスチックの種類によって、二次的マイクロプラスチックへのなりやすさは異なります。レジ袋(ポリエチレン)や食品トレー(ポリスチレン)は特になりやく、長い年月をかけて環境中で小さくなり、二次的マイクロプラスチックとなります。

マイクロプラスチックの処理における問題

マイクロプラスチックは環境汚染を引き起こす危険な物質ですが、サイズが5mm以下と非常に小さいため、自然界へ一度流出したら回収することは極めて困難です。

特に歯磨き粉や洗顔料から出るマイクロビーズなどは、下水処理施設のろ過装置をすり抜けて河川・海に流れ込んでしまうため、大きな問題となっています。

また、マイクロプラスチックは生ごみと異なり、時間が経っても自然界で分解されることはありません。科学者の研究によると、完全分解には400年以上もの年月がかかるとされています。

このように、マイクロプラスチックは処理しにくい物質であるため、マイクロプラスチック汚染は、先進国を含む世界中で深刻な問題となっています。

マイクロプラスチックが人体に与える影響



プラスチックは現代社会にとって欠かせない存在ですが、一方で深刻な健康被害をもたらすリスクもあります。マイクロプラスチックによって、実際にどのような健康被害が起こりうるのか、以下で解説します。

◇呼吸による直接的な影響

先述のとおり、マイクロプラスチックは大気中にも広がる物質です。呼吸を通じて体内に入り込むことで、ぜんそくや呼吸困難などの呼吸器障害を引き起こす可能性があります。

また、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や肺がんなどの発症リスクが高まったり、気道過敏症やアレルギー反応を引き起こしたりするなど、人体に重大な影響を与えるケースもあります。

◇魚などを介した間接的な摂取による影響

海に流出したマイクロプラスチックは、プランクトンや小魚などの餌と間違えられやすいため、海洋生物が誤って摂取してしまいがちです。

マイクロプラスチックを誤飲した魚介類を人間が食べることで、間接的に摂取してしまうため、深刻な健康被害につながる原因となりえます。

また、マイクロプラスチックは表面に有害物質が吸着しやすい性質があるため、その有害物質も体内に取り込んでしまう可能性があります。

特にダイオキシンやPCBが体内に入ると、発がんの誘発や生殖機能・免疫機能の低下につながる恐れがあります。

2025年2月3日付けで医学誌「Nature Medicine」に掲載された研究結果によると、マイクロプラスチックとナノプラスチックは、人間の肝臓や腎臓よりも、脳に高い濃度で蓄積されることが明らかにされています。

さらに、2024年のサンプルと2016年のサンプルを比較した場合、前者のほうがマイクロプラスチックとナノプラスチックの濃度が大幅に高く、特に認知症患者の脳内でその傾向が顕著だったとのことです。

同誌によれば、認知症と診断された方の脳内では、特に濃度が高かったなどの結果も出されています。脳内のプラスチック粒子と認知症の因果関係は明確ではないものの、マイクロプラスチックが健康に悪影響をもたらす可能性は否定できないといえるでしょう。

マイクロプラスチックによる人体への影響を防ぐには



プラスチックは世界中で使用されているため、マイクロプラスチックの問題は避けようがないという側面はありますが、対策も検討されています。

以下のように、個人でできる対策をすることで、健康被害の防止につなげることも大切です。

正しいごみ処理 プラスチックごみを適切に分類したり、自主回収に協力したりすることで、プラスチックごみのリサイクル効率が向上し、プラスチックごみ削減につながる
リサイクル ペットボトルリサイクルなどに協力すれば、プラスチックごみを再利用できる
マイバッグ・マイボトルの活用 マイバッグはレジ袋、マイボトルはペットボトルの廃棄量削減につながる
必要性の見直し 不要な製品を購入・使用しないことが、プラスチックごみの削減につながる


一方、大気中に漂うマイクロプラスチックは非常に細かいので、機器を用いて対策を講じる必要があります。マイクロプラスチックを除去するには、0.1μm以下の粒子を99%以上除去できる性能の実証された空気清浄機が必要です。

特に製造現場では、プラスチック素材の加工や摩耗により、マイクロプラスチックが発生しやすくなります。こうした環境下では、微粒子を確実に捕集できる高性能フィルターを搭載した業務用空気清浄機の導入が、効果的な対策となります。

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一方、オフィスや病院など静音性が求められる空間には、45dB設計の「QleanAir FS 30」が最適です。

まとめ

プラスチックがあふれる現代社会では、マイクロプラスチックによる環境汚染や健康被害が懸念されています。

マイクロプラスチックの健康被害を防ぐためには、正しいごみ処理やリサイクルなどの対策が重要です。

また、特に製造現場では、プラスチック製品の廃棄や破損などによってマイクロプラスチックが多く発生します。

製造過程で発生するプラスチック廃棄物を適切に分別・処理し、リサイクルや再利用を奨励するほか、0.1μm以下の粒子を99%以上除去できる空気清浄機の導入も検討しましょう。