「喫煙と分煙の歴史を踏まえた、現代の受動喫煙対策と快適な環境づくり」分煙対策(喫煙ブース)・空気清浄ガイド

分煙対策(喫煙ブース)・空気清浄ガイド
2025.8.12 分煙

喫煙と分煙の歴史を踏まえた、現代の受動喫煙対策と快適な環境づくり

16世紀末にたばこが日本に伝来して以来、喫煙は長く日常的な習慣として定着してきました。

しかし近年は、健康意識の高まりや受動喫煙への懸念を背景に、喫煙に対する社会的な目が大きく変化し、法規制も強化されています。現在では、多くの場所で明確な分煙対策が求められる時代となっています。

この記事では、日本における喫煙と分煙の歴史的背景や、法規制による分煙対策の流れを解説するとともに、現代の快適な分煙環境づくりに役立つ喫煙ブースについてもご紹介します。分煙対策を検討されている方は、ぜひ最後までご覧ください。

喫煙と分煙の歴史的背景



喫煙と分煙のあり方は、時代とともに社会の健康意識の高まりを反映し、大きく変化してきました。

ここでは、日本における喫煙文化の形成と、分煙という考え方がどのように広まっていったのかについて解説します。

◇喫煙文化の始まりと広がり

日本にたばこが伝来したのは、今から約400年以上前、16世紀末のこととされています。

当時、幕府は風紀の乱れや火災のリスク、さらには主要作物である米や麦の栽培への悪影響を懸念し、喫煙やたばこ栽培を禁止していました。

しかし、こうした規制にもかかわらず、たばこは庶民の間で急速に広まり、次第に社会の中で容認されていくようになります。

江戸時代には、刻みたばこをキセルで吸うスタイルが一般的となり、町にはおかみさんが葉たばこの準備をし、主人が刻むという分業型のたばこ屋が多く見られました。

たばこの流行にともない、キセルやたばこ盆などの喫煙具も発展。それらは単なる実用品にとどまらず、美しい装飾が施された芸術品としても愛され、日本独自の喫煙文化として根付いていったのです。

◇受動喫煙への認識と初期の対策

日本における本格的な喫煙対策は、1900年(明治33年)に始まりました。この年、鉄道省が定めた「鉄道営業法」により、鉄道車内の一部で喫煙が禁止されるようになり、違反には罰則が科されることとなりました。さらに、未成年者の喫煙も同年に法律で禁止されました。

その後も規制は強化され、1923年には市街地を走る客車内での喫煙が全面的に禁止されるなど、公共の場における受動喫煙防止の意識が徐々に高まっていったことがわかります。

・昭和期:公共交通機関や医療機関で禁煙・分煙が進む
昭和期に入ると、公共交通機関や医療機関を中心に、禁煙・分煙の取り組みが徐々に広がっていきました。

まず、1949年には旅客船内に喫煙禁止エリアが設置され、続いて1956年には事業用自動車内での禁煙表示や乗務員の喫煙制限が導入されました。地方自治体でも分煙の意識が高まり、1965年には東京都三鷹市が本庁舎において喫煙室以外での喫煙を禁止するなど、先進的な取り組みが見られるようになります。

さらに、1976年には新幹線こだま号に初の禁煙車両が登場し、1978年には国立病院での分煙対策や、国内線航空機・国鉄連絡船での禁煙席の設置が進むなど、具体的な分煙措置が加速していきました。

・1970年代以降:受動喫煙の健康被害が認識され始める
受動喫煙の健康被害が本格的に認識され始めたのは、1970年代以降のことです。この時期から、たばこの煙が非喫煙者に与える悪影響が徐々に明らかになり、社会的な問題として注目されるようになりました。

その象徴的な出来事が、1980年に国内で初めて提起された「嫌煙権訴訟」です。これは、「他人のたばこの煙を吸わずにすむ権利(嫌煙権)」を主張した民事訴訟であり、受動喫煙への社会的関心が大きく高まったことを示す画期的な事例となりました。

この訴訟をきっかけに、公共交通機関や公共施設での禁煙・分煙の取り組みがさらに加速し、職場での喫煙対策も検討され始めます。

例えば、1980年には国鉄新幹線ひかり号に禁煙車両が初めて導入され、1981年には福岡市営地下鉄のホームが全面禁煙化。さらに1982年には、国鉄の特急列車でも多くの車両で禁煙が実施されるなど、鉄道分野を中心に禁煙化が大きく進展しました。

・1980年代以降:公共交通機関や公共施設などで禁煙・分煙の動きが加速する
1980年代に入ると、公共交通機関や公共施設を中心に、禁煙・分煙の取り組みが一気に加速しました。

まず、1984年には厚生労働省(当時の厚生省)医務局長が、すべての医療機関に対して分煙対策を行うよう通知を発出し、同年、大手百貨店の食堂にも禁煙席が設けられ、民間施設での分煙の取り組みも広がり始めました。

その後も動きは続き、1985年には名古屋市営地下鉄の構内が禁煙に、1987年にはJR山手線の(原宿駅・目白駅)が終日禁煙となるなど、都市部の公共空間での禁煙化が進展しました。

さらに、1988年には「禁煙タクシー」が認可されるなど、交通サービスの分野にも禁煙・分煙の波が広がっていきました。

1990年代に入ると、この流れはさらに加速します。1990年には、東京都や福岡高裁・地裁で分煙庁舎が整備され、日本航空では16路線で全席禁煙化が実施されました。

1992年にはJR西日本の本社ビルが禁煙化され、JR山手線の全駅で分煙体制が整備されるなど、企業による自主的な禁煙・分煙の取り組みも本格化していきました。

・1990年代以降:国や地方自治体がより体系的な分煙対策を打ち出す
1990年代以降、国や地方自治体は分煙対策をより体系的・計画的に進めていくようになります。

1996年には、厚生省や労働省から、公共の場所や職場における分煙に関する報告書やガイドラインが公表されました。これを受け、東京都も都立施設における分煙計画を策定するなど、政策としての分煙対策が本格化していきます。

さらに、2002年には東京都千代田区で全国初となる路上喫煙禁止条例が成立しました。
この条例の成立により、屋外における喫煙マナーにも社会の関心が向けられるようになり、公共空間全体での喫煙に対する規律や意識が一段と高まっていきました。

法規制による分煙強化の流れ

2000年代以降、分煙対策は「個人のモラル」から「社会全体のルール」へと大きく転換しました。法制度の整備が進んだことで、受動喫煙の防止はより明確にルール化され、公共の場での喫煙に対する社会的な意識も高まりました。

ここでは、そうした法規制による分煙強化の流れについて詳しく見ていきます。

◇健康増進法と改正内容

転換点となったのが、2003年に施行された「健康増進法」です。この法律により、受動喫煙防止が“努力義務”として明文化され、公共の場における喫煙対策が本格的にスタートしました。

さらに、2020年4月1日には同法が改正され、受動喫煙対策は大きく前進します。
この改正により、飲食店・事業所・公共施設など屋内の多くの場所が「原則禁煙」となり、違反者には罰則が科されるようになりました。

このように、受動喫煙対策は「マナー」から「法的義務」へと大きくシフトし、社会全体での喫煙ルールの厳格化が進められています。

出典:健康増進法|厚生労働省

◇地方自治体による条例の強化

国の取り組みと並行して、地方自治体も独自の受動喫煙対策を積極的に進めています。
特に東京都や神奈川県では、国の法令よりも厳しい内容の条例を制定し、対策を強化してきました。

例えば、2009年には神奈川県で「公共的施設における受動喫煙防止条例」が制定され、施設の種類に応じて利用者の受動喫煙リスクを抑えるための具体的な措置が義務付けられました。

さらに、2020年には「東京都受動喫煙防止条例」が全面施行され、20歳未満の者や、受動喫煙を防ぎにくい立場にある従業員を守ることを目的に、東京都独自のルールが設けられました。

この条例と改正健康増進法をあわせて、2人以上が利用する施設の屋内は原則禁煙とされ、決められた場所以外での喫煙も禁止されるなど、規制が大幅に強化されています。

また、多くの自治体条例には罰則が設けられており、実効性の高い運用が可能です。このように、受動喫煙対策は地域の実情に応じて柔軟かつ具体的に制度化され、社会に着実に浸透しつつあります。

出典:神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例|神奈川県
   東京都受動喫煙防止条例|東京都

現代社会の喫煙環境と課題



健康志向の高まりに加え、加熱式たばこなど新しい喫煙製品の登場により、現代の分煙対策はますます複雑化しています。

ここでは、近年の喫煙環境を取り巻く背景や、分煙対策の現状と課題について詳しく見ていきましょう。

◇喫煙者と非喫煙者の共存への取り組み

企業や店舗における分煙対策は、従業員の安全配慮義務という法的観点だけでなく、顧客満足度の向上というサービス面でも重要な取り組みといえます。

具体的には、喫煙スペースの明確化と、非喫煙者への配慮を両立させた環境設計が求められます。単に喫煙エリアと非喫煙エリアを分けるだけでなく、分煙機の導入や適切な換気の徹底などにより、煙や臭いの拡散を最小限に抑える工夫が必要です。

また、喫煙環境を整備する際には、改正健康増進法などの関連法令を遵守し、確実な受動喫煙防止措置を講じることが求められます。

◇加熱式たばこ・電子たばこの扱い

近年、加熱式たばこや電子たばこなどの「新型たばこ」に対する取り扱いが、国内外で大きな議論となっています。これらの製品には以下のような特徴があります。

【おもな新型たばこの特徴】
・加熱式たばこ:たばこの葉を電子機器で加熱し、蒸気に含まれるニコチンを吸入する
・電子たばこ:専用の液体を電気で加熱し、発生したエアロゾルを吸入する


2021年時点の調査では、加熱式たばこの使用率は47.2%、電子たばこは16.5%とされており、新型たばこのなかでも加熱式たばこが特に普及しています。

一見すると煙や臭いが少なく、従来の紙巻きたばこよりも安全なイメージを持たれがちですが、実際には有害物質を含み、受動喫煙のリスクも存在します。

【新型たばこの有害性】
・加熱式たばこ:加熱時にフィルターから有害物質が発生しているとの報告(2017年)あり
・電子たばこ:濃度は低いものの、エアロゾルに発がん性物質や重金属を含むことが確認されている

アメリカでは、新型たばこの使用による入院や死亡事例が報告されており、日本国内でも急性肺障害の発生例が報告されています。

こうした背景から、2022年時点で40ヵ国が電子たばこの使用を禁止し、30ヵ国以上が加熱式たばこの販売・輸入を禁止するなど、海外では積極的な規制が進んでいます。

一方、日本国内では新型たばこに関する法規制や施設対応が依然として遅れており、今後はこれらの特性を正しく理解したうえで、より具体的な法的・設備的対策の整備が求められています。

クリーンエア・スカンジナビアの喫煙ブースで叶える快適分煙



クリーンエア・スカンジナビアでは、改正健康増進法に準拠した高性能な喫煙ブース「分煙キャビン」を提供しています。導入が簡単で、法令対応・衛生面・景観配慮のすべてをバランスよく実現できるのが特長です。

主な特長は以下のとおりです。

・厚生労働省の環境基準を大幅に上回る浄化能力
クリーンエア・スカンジナビアの分煙キャビンは、捕集が困難とされるたばこ粒子をほぼ100%捕集し、たばこの煙と臭いを完全に除去します。また、従来の分煙技術では困難だったガス状成分についても、独自開発のガスフィルターによりほぼ100%除去することが可能です。

この浄化能力は、厚生労働省が定める環境基準を大幅に上回ることが、第三者研究機構によって確認されています。

・屋内のあらゆる場所に設置可能
分煙キャビンは100V電源がある場所ならどこでも設置が可能です。喫煙スペースを作るために新たに部屋を用意したり、大がかりな工事を行なったりする必要はなく、限られたスペースを有効に活用できます。

また、たばこの煙を屋外へ排気することも可能です。
※2020年4月1日施行の改正健康増進法により、喫煙室を設置する際は、たばこの煙を屋外へ排出する構造とすることが義務付けられています。

・設置後は専門スタッフが定期メンテナンスを実施
分煙キャビンの設置後は、専門スタッフが訪問し、フィルター交換や吸い殻の清掃を行ないます。そのため、導入後も常に快適な空気環境を維持できるほか、関連する法律要件を満たしていることを証明するレポートも作成・提供いたします。

まとめ

16世紀末にたばこが日本に伝来して以来、たばこは庶民の生活に浸透し、キセルやたばこ盆といった喫煙具とともに、日本独自の喫煙文化が育まれてきました。

しかし、1900年頃から喫煙による健康リスクへの関心が高まり、1970年代には受動喫煙の危険性が認識されるようになります。これを機に、公共交通機関や医療機関を中心に禁煙・分煙の取り組みが本格化しました。

2000年代に入ると、健康増進法をはじめとした法制度の整備が進み、受動喫煙対策は個人のマナーから社会全体のルールへと変化しました。近年では、加熱式たばこや電子たばこといった新型たばこの普及により、分煙対策のあり方がさらに複雑になっています。

こうした製品の特性を正しく理解し、法令に基づいた適切な施設整備が求められています。快適で安心できる分煙環境を実現するには、高性能な浄化能力と導入のしやすさを兼ね備えた設備が必要不可欠です。

クリーンエア・スカンジナビアの「分煙キャビン」は、厚生労働省の基準を大きく上回る浄化性能と、工事不要で柔軟に設置できる利便性を兼ね備えており、現代の多様な分煙ニーズにも対応可能な設備です。

快適な空間づくりを目指す施設や店舗にとって、有力な選択肢の一つとして、ぜひ導入をご検討ください。


■監修者情報

医師:高山 哲朗
かなまち慈優クリニック 理事長

平成14年慶應義塾大学卒業、慶應義塾大学病院、北里研究所病院、埼玉社会保険病院等を経て、平成29年 かなまち慈優クリニック院長。医学博士。日本内科学会認定医。日本消化器病学会専門医。日本消化器内視鏡学会専門医。日本医師会認定産業医。東海大学医学部客員准教授。予測医学研究所所長。