「会社の喫煙対策、全面禁煙と分煙どちらが適切?企業が知っておきたい法律・実務ポイント」分煙対策(喫煙ブース)・空気清浄ガイド

分煙対策(喫煙ブース)・空気清浄ガイド
2025.12.25 喫煙問題

会社の喫煙対策、全面禁煙と分煙どちらが適切?企業が知っておきたい法律・実務ポイント

会社における喫煙対策は、法令遵守の観点だけでなく、従業員の健康を守り、生産性や企業イメージを向上させるうえでも重要な経営課題とされています。

一方で、喫煙対策を進めるにあたり、「全面禁煙」と「分煙」のどちらが自社にとって最適なのか、またどのように実施すべきか悩む企業も少なくありません。

この記事では、会社で喫煙対策が注目されている背景や、「全面禁煙」と「分煙」それぞれの特徴、現実的な喫煙対策の進め方について解説します。

また、技術的基準を満たした喫煙ブースも紹介するので、喫煙環境の見直しを検討している企業担当者の方はぜひ参考にしてください。

なぜ「会社の喫煙対策」が注目されているのか

改正健康増進法の施行を機に、会社における受動喫煙対策はマナーから「義務」へと変わりました。喫煙対策は、従業員や顧客の健康を守るだけでなく、法令を遵守するためにも欠かせない取り組みです。

さらに、喫煙対策に取り組むことは、より良い社会の実現に向けた企業の社会的責任を果たすことにもつながります。企業イメージの維持・向上を図るうえでも重要であり、従業員の健康増進を通じて生産性の向上にも寄与します。

このように、喫煙対策は今や重要な経営課題として位置づけられています。

喫煙対策を適切に進めることによって、快適な職場環境を実現できるだけでなく、企業の信頼性や働きやすさの向上にもつながります。こうした背景から、企業における喫煙対策への関心が一層高まっています。

改正健康増進法と企業の義務



改正健康増進法が2020年4月1日に施行され、事業所やオフィスは「屋内原則禁煙」と定められました。

技術的基準を満たした喫煙専用室や加熱式たばこ専用喫煙室では、喫煙が認められていますが、設置するには法律で定められた厳格な基準を満たす必要があります。

また、改正健康増進法の規定に違反した場合には罰則が科され、最大で50万円の過料を受けるおそれがあるため注意が必要です。

さらに、違反が確認された際には行政による指導や勧告が行われ、命令に従わない場合には社名が公表されることもあります。

企業は喫煙室の設置基準を正しく理解し、法令を遵守する姿勢が求められます。あわせて、喫煙者も喫煙禁止区域での喫煙を避けるなど、ルールを守る意識を持つことが重要です。

全面禁煙と分煙、それぞれの特徴と違い

会社の喫煙対策には、「全面禁煙」と「分煙」という2つの選択があります。それぞれにメリットと課題があり、最適な取り組み方は企業の業種や従業員構成によって変わります。

以下では、全面禁煙と分煙の特徴や違いを詳しく解説します。

◇全面禁煙とは

「全面禁煙」とは、単に屋内での喫煙を禁止するだけでなく、「敷地内全面禁煙」や「就業時間中の全面禁煙」など、敷地全体や勤務時間全体を対象に含めた取り組みを指します。

敷地内全面禁煙
敷地内は、屋外であっても禁煙とする取り組みです。事務所やオフィスは原則として屋内禁煙とされていますが、要件を満たした喫煙専用室などを屋内に設けることは認められています。

近年は受動喫煙防止対策の強化に伴い、企業が自主的に敷地内全面禁煙の厳しいルールを導入するケースも増えています。

就業時間中の全面禁煙
就業時間中の喫煙を禁止する取り組みです。労働者には労働時間中の職務専念義務があるため、事業場内を就業時間中全面禁煙とする場合は、喫煙者にも目的やルールを丁寧に説明したうえで導入を検討することが重要です。

ただし、休憩時間中に事業場外で喫煙する行為まで制限することは難しいため、禁煙支援制度を整えるなどのソフトなアプローチも求められます。

就業規則や社内ルールを策定する際は、紙巻きたばこだけでなく、電子たばこ・加熱式たばこも対象に含めることで、より確実な受動喫煙防止につながります。

◇分煙とは

「分煙」とは、喫煙専用室や喫煙ブースを設けて喫煙場所を限定し、煙や臭気が非喫煙エリアに漏れないようにする取り組みです。事業所やオフィスで屋内の一部に喫煙スペースを設けたい場合は、分煙を採用する方法が適しています。

喫煙専用室の設置が難しい場合は、限られたスペースにも導入ができる喫煙ブースを設ける方法があります。高性能フィルターを備えた喫煙ブースを導入することで、法的な基準を満たしながら分煙対策を実現できます。

職場に喫煙専用室や喫煙ブースを設ける際には、以下の技術的基準を満たすことが求められます。

【喫煙専用室などを屋内に設置する際の技術的基準】
・喫煙所の出入口で室外から室内に流入する空気の流れが0.2m/秒以上ある
・たばこの煙が室内から室外に漏れないよう、壁や天井などで区画されている
・たばこの煙が屋外や外部の場所に排気されている
・法律要件の測定とレポート保管

実務ステップ:現実的な職場の喫煙対策を進める方法



会社の受動喫煙対策は、企業の規模や従業員構成によって最適な方法が異なります。喫煙所を一気に撤去するのではなく、段階的に環境を整えながら、従業員の理解を得て持続的に改善していくことが重要です。

その際に効果的なのが、技術的基準を満たした喫煙ブースなどを活用した「分煙」の導入です。

以下では、職場の喫煙対策を現実的かつ無理なく進めるための方法を、3つのステップに分けて解説します。

◇ステップ1:方針の明確化と社内周知

まずは、「受動喫煙防止」を目的とする企業方針を策定しましょう。職場内の喫煙状況や従業員の意識を調査し、どのような対策が必要かを明確にします。

企業方針を定めたあとは、就業規則や社内掲示を通じてルールを共有します。さらに、社員説明会や社内イントラネットなどを活用して、喫煙対策の目的や段階的な移行計画を周知し、従業員の理解を得ることが重要です。

◇ステップ2:喫煙ブースの設置・管理による移行期間の確保

企業の喫煙対策においては、喫煙所を直ちに撤去するのではなく、段階的な対応を検討することも重要です。

喫煙所を撤去すると、喫煙者が社外に出て喫煙せざるを得なくなり、衣服への臭いの付着や休憩時間の不公平感が生じる可能性があります。また、業務上の確認や相談がしにくくなるなど、一見課題が解決したように見えても、新たな問題を招くケースがあります。

また、職場において上司や非喫煙者が一方的に禁煙を求めることは、「逆スモハラ(逆差別的スモーキングハラスメント)」と受け取られるおそれがあります。その結果、喫煙者が精神的な負担を感じ、状況によっては離職につながる可能性も否定できません。

多くの企業には、非喫煙者と喫煙者の双方が在籍しています。そのため、まずは両者が共存できる職場環境を整えることが、現実的な対応といえるでしょう。

具体的には、法令基準を満たした空気清浄性能の高い喫煙ブースを設置し、煙や臭気を適切に遮断することが有効です。これにより、非喫煙者・喫煙者の双方にとって公平な職場環境を維持できます。

法令に適合した安全な分煙環境を確保することで、いずれの立場の従業員にとっても、快適に働ける職場づくりが可能となります。

◇ステップ3:運用後のフォローと継続的な改善

喫煙ブースの導入後は、アンケートの実施や現場の声の収集を行い、制度やルールを継続的に改善していきます。あわせて、禁煙の取り組みを支援することも重要です。

各種研修や定期健診などの機会を活用して禁煙を推奨し、禁煙外来やカウンセリング支援の継続的な提供を行うことで、社員の健康維持を積極的にサポートできます。

全面禁煙の課題と解決策

全面禁煙を導入した場合でも、社内に喫煙者が在籍している限り、衣服への臭いの付着や休憩時間の不公平感、喫煙者に確認したい際の時間的ロスなど、運用面での課題が生じることがあります。その結果、非喫煙者のストレス増加や、社内コミュニケーションの低下につながるケースも少なくありません。

また、屋外喫煙所の場合には、煙や臭いの流出により、非喫煙者や近隣から苦情につながる可能性があります。さらに、風向きや周辺環境の影響を受けやすいため、管理面や導線設計も課題となる場合があります。

その点、喫煙ブースや高性能な換気システムを導入することで、煙や臭いを空間内で確実に処理でき、周囲への影響を最小限に抑えながら運用することが可能です。屋外喫煙所のように設置場所に制約を受けにくく、分煙ルールにも対応しやすいため、従業員への配慮と受動喫煙対策の両立にも効果的でしょう。

社内の分煙対策を進めるならクリーンエア・スカンジナビア



クリーンエア・スカンジナビアでは、改正健康増進法に基づく「脱煙機能付き喫煙ブース」に該当する「分煙キャビン」を提供しています。分煙キャビンには以下のような特徴があります。

・たばこの粒子をほぼ100%捕集

厚生労働省が定める環境基準があり、浮遊粉じん量は0.15mg/m³以下、TVOC(ガス状成分)の暫定目標値は400μg/m³となっています。

分煙キャビンは、厚生労働省が定める環境基準を大きく上回る浄化性能を備えています。

通常は除去が難しいとされるガス状成分についても、独自開発のガスフィルターによってほぼ100%除去します。

・屋内なら省スペースでどこにでも設置可能

分煙キャビンは、屋内で100V電源が確保できる場所であれば、どこにでも設置できます。新たに部屋を用意する必要がなく、大がかりな設備工事も不要なため、省スペースで導入できます。

・非喫煙者・喫煙者が平等にコミュニケーションを図ることが可能

分煙キャビンは入口に物理的な仕切りがない構造でありながら、煙や臭いが外部に漏れない仕組みを備えています。そのため、喫煙者はたばこを吸いながらでも非喫煙者と同じ場所でコミュニケーションを取ることができ、「たばこ休憩による不平等感」を和らげる効果も期待できます。

・専門スタッフによる定期メンテナンス

分煙キャビン導入後は、料金内で専門スタッフが定期メンテナンスや法律要件の計測、レポート作成を行います。フィルターや吸い殻の交換作業も不要で、常に高い性能を保ちながら法令に適合した環境を維持できます。

まとめ

会社の受動喫煙対策を進める際は、まず受動喫煙防止を目的とした企業方針の策定とルールの共有から始めましょう。そのうえで、移行期間には非喫煙者と喫煙者が共存できるよう、喫煙ブースを設けて環境を整えることが効果的です。

喫煙ブース導入後は、制度やルールを見直しながら、禁煙外来やカウンセリング支援の継続的な提供を通じて禁煙を推進し、従業員の健康維持を支援することが重要です。

受動喫煙対策の移行期間に喫煙ブースを導入したい場合は、ぜひクリーンエア・スカンジナビアの「分煙キャビン」をご検討ください。法令基準を満たした安全な分煙環境の実現をサポートします。


■監修者情報

山本 務(やまもと つとむ)
特定社会保険労務士・AFP・2級FP技能士・第一種衛生管理者

やまもと社会保険労務士事務所 代表。
企業の情報システム、ならびに人事部門で合計28年の会社員経験があるのが強みです。情報システム部門、人事部門の苦労がわかる社会保険労務士で、労働相談、人事労務管理、就業規則、給与計算に関する業務が得意です。労働相談では、労働局での総合労働相談員の経験を生かした対応ができます。各種手続きは電子申請で全国対応が可能です。
また、各種サイトでの人事労務関係記事の執筆や監修も行っています。

HP:https://www.2106-sr.com/