〈平成30年度版〉分煙の助成金について 国と東京都の違いを解説

2018.10.29 分煙

〈平成30年度版〉分煙の助成金について 国と東京都の違いを解説

各地で施行が始まっている受動喫煙防止関連の条例にまつわり、現在分煙化を検討中の店舗や施設が多くなっています。そのような背景から、国や地域では店舗や施設の分煙化に対して助成金を設ける取り組みがおこなわれています。
そこで今回は、分煙化に対する各種の助成金制度について詳しくご紹介します。今後、店内・施設内の分煙化を考えているなら、ぜひご参考にしてください。

分煙に対する助成金

ここでは、国や地域が設けている分煙化を対象とした助成金制度についてご説明します。厚生労働省(国)が設けている助成金と、東京都が外国人旅行者の滞在促進に向けて設けた補助金制度を取りあげ、その概要をご紹介します。

【厚生労働省(国)の「受動喫煙防止対策助成金制度」】
国民の健康増進のため、受動喫煙防止対策を推進する取り組みの一環です。店舗や企業などをはじめとする中小企業事業主が、受動喫煙防止に関する施設整備をおこなう際にその費用を助成することで、店舗や施設における受動喫煙防止策の推進をします。

【東京都の「分煙環境整備補助金」】
都内を訪問した外国人旅行者に、より快適に宿泊施設や飲食店を利用してもらえるように、受動喫煙の防止を目的とした分煙化を進めるための取り組みです。

助成金の金額について

国や都道府県が設ける助成金・補助金制度では、具体的にどのくらいの金額が助成されるのでしょうか。ここでは、助成金・補助金制度で受けられる具体的な金額についてご紹介します。

【厚生労働省(国)の「受動喫煙防止対策助成金制度」】
助成金の上限限度額は「最大100万円」となっています。また、工費や設備費、機械や備品にかかる費用など、喫煙スペースの設置に関わる費用の2分の1以内を上限としますが、飲食店に限り3分の2が上限とされています。

【東京都の「分煙環境整備補助金」】
受けられる補助金の上限限度額は「最大300万円」となっています。また、1施設あたり補助対象経費の5分の4以内が補助されることになっています。

助成金対象者(事業主)について

国や地域が設けている助成金・補助金制度では、対象となる事業主についても定められています。ここでは、各種助成金・補助金の対象者についてもくわしくご説明します。

【厚生労働省(国)の「受動喫煙防止対策助成金制度」】
まず、労働者災害補償保険(労災保険)の適用事業主であることが助成対象の条件となります。また、「中小企業事業主であること」も条件ですが、具体的には「労働者数」か「資本金」、いずれか一方の条件を満たせば「中小企業事業主」に該当し、助成の対象となります。

【東京都の「分煙環境整備補助金」】
「外国人旅行客に対し積極的に受け入れを図っている東京都内の宿泊・飲食店であること」が補助の対象となる条件で、他に企業規模や属性などで設けられる条件は原則ありません。

補助金対象物について

ここでは、分煙化に即して何をおこなえば助成・補助の対象となるのか、その具体的な対象物についてご説明します。

【厚生労働省(国)の「受動喫煙防止対策助成金制度」】
一定の基準を満たす屋内喫煙室の設置や改修にかかる工事費や設備費、備品費や機械装置費などを対象とします。また屋外喫煙所(閉鎖系)の場合も、一定基準を満たしていれば設置・改修にかかる工事費や設備費、備品費や機械装置費などが対象となります。
その他、喫煙室・屋外喫煙所以外に、受動喫煙を防止する目的で設置する換気設備の増設にかかった経費も助成対象となります。

【東京都の「分煙環境整備補助金」】
屋内喫煙室の設置・改修にかかる工事費や設備費、備品費や機械装置費などが対象となります。また、屋外喫煙所(閉鎖系)の設置・改修にかかる工事費や設備費、備品費や機械装置費なども対象です。その他、エリア分煙やフロア分煙などをおこなう際にかかった改修費用も補助の対象となります。

助成金の申請方法と流れについて

ここでは、分煙化に際して受けられる助成金・補助金の申請の流れや手引きについて、ご紹介します。

【厚生労働省(国)の「受動喫煙防止対策助成金制度」】
1.交付要綱などを読み制度をくわしく理解した上で、書類を準備し申請書に記入をします。
2.申請書類を2部ずつ所轄の労働局(雇用環境の均等部企画課もしくは均等室)に提出します。
3.審査がおこなわれ、1ケ月以内に結果が通知されます。交付が決定されたら「交付決定通知書」を基に、工事の発注や実施をします。
4.事業実績を所轄労働局に報告し、交付額が確定されたら請求書を労働局に提出し、助成金を受け取ります。

【東京都の「分煙環境整備補助金」】
1.交付申請書を東京都産業労働局へ提出し、現地調査・書類審査の上、交付が決定されます。
2.工事や設備設置の契約・発注をおこない、施行をします。
3.東京都が測定・検査をおこない、それにしたがって実績報告書を作成の上、提出します。
4.実績報告書の受理後、補助金額が確定したら請求をおこない、補助金を受け取ります。

注意点

厚生労働省(国)と、東京都の助成金・補助金が両方適用されることはありません。助成または補助を受ける場合は、どちらか一方となります。
また、補助金を受け取るためには別途費用が発生することも押さえておく必要があります。具体的には、申請時に専門家へ代行を依頼した場合にかかる費用や、受領後に仕入れ控除税額が発生した場合の返還費用などです。
これらも考慮し、最適な分煙対策を検討することが大切です。助成金・補助金を受けて改修するより、レンタルで調達できる分煙手段のほうがお得にできる場合もあります。さまざまなケースを想定し、各企業・店舗に適した選択をしましょう。