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2018年9月25日

飲食店は原則禁煙?受動喫煙防止条例による飲食店のこれからを考えよう

2020年の東京オリンピック・パラリンピック(以下「東京五輪」と称する)に向けて、さまざまな制度の準備が整えられています。「受動喫煙防止条例」もそのひとつであり、東京都や神奈川県などの関東を中心に、すでに条例を施行している自治体も見られます。
そこで今回は受動喫煙防止条例の概要に加えて、飲食店の現状やこれからをまとめました。

東京都受動喫煙防止条例 飲食店編

2018年6月25日、東京都で受動喫煙防止条例が可決されました。この条例は飲食店をはじめ、学校や病院などさまざまな建物における「喫煙のルール」を明確にしたものであり、2020年4月から全面施行が予定されています。
この条例の規制対象・規制対象外となる店舗について、以下で簡単にご紹介していきましょう。

従業員※1を雇っている店舗 屋内喫煙が原則禁止
従業員を雇っていない店舗 規制対象外
子どもが出入りする店舗 従業員の有無に関わらず、屋内喫煙が原則禁止
家族経営の飲食店 規制対象外

※1 従業員とは「労働基準法第9条に規定する労働者(同居の親族のみを使用する事業又は事務所に使用される者及び家事使用人を除く。)を指します。

規制対象外の店舗については、「屋内喫煙可・屋内禁煙」のいずれかを選ぶことが可能です。また、規制対象に含まれる店舗に関しても、喫煙室を設置すれば屋内喫煙は可能となりますが、以下のように「紙巻きたばこ・加熱式たばこ」で扱いが異なります。

紙巻きたばこ 喫煙専用室(飲食不可)でのみ喫煙可能
加熱式たばこ 喫煙専用室(飲食不可)または喫煙室(飲食可)で喫煙可能

上記の喫煙専用室・喫煙室を新たに設置する場合に、設置費として最大300万円の助成を受けられる点も覚えておきたいポイント。
ちなみに国が実施する受動喫煙対策法と、東京都の受動喫煙防止条例は異なる制度です。以下は、国と東京都の制度を比較した表なので、違いを理解しておきましょう。

国の受動喫煙対策法 東京都の受動喫煙防止条例
対象店舗 規模の大きな店舗 従業員を雇っている店舗
例外となるケース 既存の飲食店で、客席面積が100平方メートル以下で、資本金5,000万円以下の店舗 ・従業員を雇っていない店舗
・家族経営の店舗
罰金 ・喫煙者…30万円以下
・施設管理者…50万円以下
5万円以下(施設管理者)
日本の飲食店の対応 2018年情報

受動喫煙防止条例の実施を控えて、各飲食店はどのように対応しているのでしょうか。東京都での実施は2020年からですが、すでに対応している企業や店舗も見られます。実例としては以下が挙げられます。

サイゼリヤ
(ファミリーレストラン)
2019年9月までに、全店舗を全面禁煙に
串カツ田中
(居酒屋)
2018年6月から、ほぼ全店舗を全面禁煙に
ZeCT byLm
(レストラン)
2018年6月から、全店舗を全面禁煙に

すでに全面禁煙を実施した飲食店の中には、禁煙前・禁煙後のデータを分析している店舗も。ほかの飲食店に関しても、2020年に向けて着々と対応を進めています。

受動喫煙防止条例が飲食店に与える影響

受動喫煙防止条例が施行されると、飲食店では以下の項目に影響が及ぶと予測されます。

客数 喫煙者の来店数が減り、それに伴って客数も減少
客単価 喫煙者の滞留時間が短くなり、それに伴って客単価も下がる
売上 客数と客単価の影響により、売上も減少

実際に、神奈川県で2010年4月に施行された条例の後には、喫煙環境を変えた4割の店舗が売上を落としました。

出典:富士経済刊「外食産業マーケティング便覧2011(総括編)」
調査:(2011年7~8月) N=355(うち100㎡超 N=151)

しかし、実は海外での事例と比べた場合、日本の受動喫煙防止対策は決して厳しくありません。

五輪の開催都市 概要
ロンドン
(2012年)
建物内禁煙を実施(喫煙室の設置も禁止)
ソチ
(2014年)
建物内禁煙を実施(喫煙室の設置も禁止)
リオデジャネイロ
(2016年)
敷地内は全面禁煙
平昌
(2018年)
建物内禁煙を実施(飲食店は喫煙室可)

海外で行われた直近の五輪では各国の飲食店も厳しい受動喫煙防止対策を進めてきたように、日本の飲食店オーナーも、今後規制が厳しくなることも想定し準備を進めたいところでしょう。